
大規模災害が政治の流れを変えることは珍しくない。災害対応で失敗すれば、政権への逆風となり、うまく危機を乗り切れば、追い風となる。米国の場合、大統領と被災地の知事が違う政党に所属する場合、協力するか、批判し合うのかも注目点だ。
6月のマンション崩落事故では……
米南部フロリダ州サーフサイドの高級マンション崩落事故もそうした事例の一つになるかもしれない。6月24日、12階建てマンションが突然崩れ、約140人の死者・行方不明者を出す大惨事となった。地元市長とともに救命救助の陣頭指揮にあたったのが同州のデサンティス知事(共和党)だ。
デサンティス氏は、トランプ前大統領に最も近い州知事の一人と言われてきた。トランプ氏の政策を全面的に評価し、すり寄る姿勢が鮮明だった。新型コロナウイルスへの対応でも、公衆衛生当局が求める厳しい行動規制に反発し、ビジネスを守る考えを強調し、トランプ氏を喜ばせた。トランプ氏の支持者らからも高い評価を得るようになった。海軍出身でハーバード大法科大学院修了という経歴もあり、2024年の共和党大統領候補として名前が取り沙汰されるようになった。共和党支持層の間で人気が高いトランプ氏から後継指名される形で大統領を目指すという見方がもっぱらだった。
ところが、崩落事故で異変が起きた。トランプ氏は7月3日にフロリダ州サラソタで大規模な集会を計画していた。保守系の「ワシントン・エグザミナー」紙によると、人命救助の作業が続くなか、集会開催はふさわしくないと考えた知事が、集会を中止か延期するようトランプ氏側に要請。しかし、トランプ氏は「誰もキャンセルなど望んでいない」(トランプ…
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