ニッポン金融ウラの裏

「コロナで窮地」事業者向け金融支援の現場で“悲鳴”

浪川攻・金融ジャーナリスト
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大阪で4度目となる緊急事態宣言が発令され、休業することを伝える飲食店の張り紙=大阪市浪速区で2021年8月2日、滝川大貴撮影
大阪で4度目となる緊急事態宣言が発令され、休業することを伝える飲食店の張り紙=大阪市浪速区で2021年8月2日、滝川大貴撮影

 新型コロナウイルス感染が全国的に深刻化している。そのダメージを受ける飲食、観光などの事業者に対し、金融面での支援強化が迫られる情勢となりつつある。事業者にとってまさに正念場だが、支援する側の金融機関も厳しい局面が訪れる可能性が高まりつつある。

 コロナ感染拡大に伴って経営が悪化した事業者への金融支援は、実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」がある。また、既存の借入金についても金利減免や返済猶予といった融資条件の変更が行われている。全国銀行ベースで今年6月末までに事業者から約54万件の条件変更の申し込みがあり、その99%が認められている。

 しかし、これはコロナの影響がこの夏場に一段と深刻化する前の話だ。ここにきて、デルタ株の感染者が急増し、感染爆発の懸念すら強まっている。東京都など複数の自治体で再三にわたって緊急事態宣言が出されており、飲食、観光業者や関連事業者へのダメージは深まるばかりだ。

事業者に向き合う現場から“悲鳴”

 金融庁は金融機関に対し、信用保証協会、中小企業再生支援協議会、地域経済活性化支援機構といった公的組織と連携して中小事業者への支援を行うよう要請してきた。これを受け、各金融機関は税理士や公認会計士にも加わってもらい、経営改善計画、事業再生計画の策定や事業転換支援に取り組んできた。

 資本の手当てが必要な場合は、日本政策金融公庫の資本強化特別貸し付けや、地域経済活性化支援機構のファンドの活用も視野に入れて、個々の事業者の実情に応じた支援策を実行してきた。

 ところがいま、事業者に向き合ってきた金融機関の現場から、「事態の長期化が想定を超え、再生計画の見直しを迫られて…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。