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シニア女性にQRコード浸透「韓国のり」は過去の話?

梅津順江・株式会社ハルメク 生きかた上手研究所所長
 
 

 「韓国のりのような透け感のある黒い正方形にスマートフォンをかざしてください」

 これは、私が所属する「ハルメク 生きかた上手研究所」で2~3年前までよく使っていた案内の仕方です。シニア女性に、月刊情報誌「ハルメク」のモニター会員への登録を促すとき、誌面やチラシにある「QRコード」を説明するためでした。「QRコードを読み取って」と伝えても、通じないことが多かったのです。上記のように案内すると、笑いを誘いながらすぐに理解してもらえ、とても便利でした。

 しかし、今ではこの案内をすることはほぼなくなりました。多くのシニア女性がQRコードのことを知り、使う人が増えているからです。私たちが実施した調査からも、その様子がうかがえます。シニアに接することが多い人たちにも、情報を伝える手段として積極的に活用することをお勧めできます。

 QRコードは、自動車部品大手デンソーが開発した二次元コードで、スマホのカメラアプリなどで読み取ると、すぐに指定のウェブページが開きます。誰でも無料でコードを作成でき、商品やサービスの告知などに使え、商業利用も盛んです。

ほぼ全員が知っている

 私たちの研究所は5月12日~6月3日、「パソコン・スマホに関する利用実態調査」を郵送形式で実施しました。対象者は55~74歳の女性で、パソコンかスマホを利用する270人(有効回答数)です。

 「QRコードを知っていますか」という質問…

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株式会社ハルメク 生きかた上手研究所所長

大阪府生まれ。杏林大学社会心理学部卒業後、ジュジュ化粧品(現・小林製薬)入社。ジャパン・マーケティング・エージェンシーを経て、2016年3月から現職。主に50歳以上のシニア女性を対象にインタビューや取材、ワークショップを行っている。著書に、「この1冊ですべてわかる 心理マーケティングの基本」(日本実業出版社)などがある。