
ここ数年、日本では過去の常識では対応できないような豪雨が増えており、この8月も各地に大規模水害をもたらしている。マンションは一般に水害に強いとされるが、これまでの経験則は必ずしもあてはまらなくなってきた。マンションの水害への備えについて注意すべきポイントを解説しよう。
戸建てとマンションの意識差
地球温暖化による気候変動の影響で、記録的な豪雨が発生する懸念が高まっている。国土交通省の有識者検討会の試算によると、気候変動の影響で将来の日本の降水量は地域により現在の1.1~1.4倍になり、1級河川の洪水の発生確率は2~4倍に上昇するという。
実際、近年は豪雨や台風による水害や土砂崩れのニュースを見聞きする機会が増えている。これまで水害を経験したことがなくても、防災意識を高めたという人は多いだろう。
ただし、住まいが戸建てかマンションかで、意識差はあるようだ。マンションは一般に水害に強いとされ、2階以上に住んでいれば影響は少ないと考えやすい。
だが、マンションにも水害リスクはあり、特に立地によっては十分な備えが必要になる。まずは、管理組合が自分たちのマンションのリスクを把握することから準備を始めたい。
排水能力超える集中豪雨も
近年の水害はかつてよりも甚大化し、都市部でも局地的な集中豪雨が頻繁に発生するようになっている。その原因の一つに、短時間で大量の降雨が起きやすくなっていることが挙げられる。
気象庁によると、1時間あたり50ミリ以上の降雨の年間発生回数(全国)が、最近10年間(2011~20年)は、その35年前の10年間(1976~85年)の1.5倍に増えた。
公共下水道管…
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