
近代オリンピックは1984年のロサンゼルス五輪から商業主義が急速に推し進められたと言われます。近年は政治的思惑に経済的利権も絡みあう一大国家事業ともなっており、行き過ぎた商業主義はたびたび批判の的にもなってきました。
今回の東京五輪でも、パンデミックの中での開催に日本国民の多くが疑問の声を上げる中、国際オリンピック委員会(IOC)はNBCユニバーサル(米放送大手)から支払われる巨額の放映権料などの収益を優先したと指摘されています。
私が暮らすロサンゼルスから見ても、コロナ禍が「商業化された五輪」のゆがみを際立たせる結果になったと感じています。
開会式の米視聴者数 過去33年で最低
実際に米国でも「ワクチン普及率が低い日本での五輪開催は危険すぎる」などと否定的な声が多くありました。NBCユニバーサルのジェフ・シェル最高経営責任者(CEO)は6月、「開会式が始まれば、みんなすべてを忘れて楽しむだろう」と述べていましたが、肝心の五輪中継の視聴者数は低迷しました。
ワシントン・ポスト(7月31日付)によると、開会式の米国での視聴者は生中継と録画放送を合わせても約1670万人。過去33年間で最低です。リオデジャネイロ五輪は約2650万人、ロンドン五輪は約4070万人でした。開会後4日間のプライムタイムの視聴者も、リオ五輪から約50%減となっています。
米国ではネットフリックスなどの動画配信サービスの拡大により、テレビ視聴者数だけで関心度を測るのは難しくなっているのですが、米モンマス大学の世論調査(7月21~26日)でも、東京五輪に「とても関心がある」と回答した人は16%にとどまってい…
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