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なぜ金メダルと違う?日本の「ユニコーン」国別ランク

中村吉明・専修大学経済学部教授
東京五輪では日本の金メダル獲得が話題となった。写真はスケートボード女子パークで金メダルの四十住さくら選手(中央)ら=東京・有明アーバンスポーツパークで2021年8月4日、宮間俊樹撮影
東京五輪では日本の金メダル獲得が話題となった。写真はスケートボード女子パークで金メダルの四十住さくら選手(中央)ら=東京・有明アーバンスポーツパークで2021年8月4日、宮間俊樹撮影

 東京オリンピックで日本はメダルラッシュにわいた。金メダルの数は米国の39個、中国の38個に次いで27個で、世界第3位だった。この順番は国内総生産(GDP)の国別ランキングと同じで、金メダルの数と国家の経済力は相関関係があるのかもしれない。

 一方、米国の385社、中国の157社に対して、日本はたったの6社。これが何の数値か、おわかりになるだろうか?

 これは各国の「ユニコーン」と呼ばれるベンチャー企業の数だ(米調査会社「CBインサイツ」調べ。2021年7月時点)。

 ユニコーンとは伝説上の動物・一角獣のことだが、ベンチャーの世界では、株式の市場価値が10億ドル(約1100億円)以上となる将来有望な非上場企業のことを言う。

 つまり、短期間で大きく成長しているベンチャーのことで、その数が日本は米国や中国に比べ、はるかに少ないということなのだ。

成長するベンチャーは国力を表す?

 ユニコーンの数も五輪の金メダルと同じように考えてもらうとわかりやすいかもしれない。つまり、大きく成長しているベンチャーの数は、その国の国力を表しているかもしれないのだ。

 米国ではここ十数年を見ても、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)をはじめとして、一介のベンチャーから世界有数の時価総額企業に成長する企業が多く見受けられる。

 一方、日本は戦後、ソニー、ホンダなどの例はあるが、近年、成長性の高いベンチャーが見当たらない。

 そこでこんな疑問がわいてくる。なぜ、日本のベンチャーは大きく成長できないのか、と。

世界初の家電となるはずが

 それを考える上で参考になる一つの実例を提供したい。2年ほど前に…

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専修大学経済学部教授

 1962年生まれ。87年、通商産業省(現経済産業省)入省。環境指導室長、立地環境整備課長などを経て、2017年から現職。専門は産業論、産業政策論。主な著書に「AIが変えるクルマの未来」(NTT出版)、「これから5年の競争地図」(東洋経済新報社)など。