身近なデータの読み方

大雨で各地に風水害「被害額が甚大化」の実態

篠原拓也・ニッセイ基礎研究所主席研究員
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2019年の台風19号の影響で浸水した車両基地に並ぶ北陸新幹線の車両=長野市赤沼で2019年10月13日、本社ヘリから
2019年の台風19号の影響で浸水した車両基地に並ぶ北陸新幹線の車両=長野市赤沼で2019年10月13日、本社ヘリから

 この8月も西日本を中心に大雨や洪水の被害が出ている。毎年、線状降水帯に伴う大雨やゲリラ豪雨の影響で、各地で河川の氾濫や土砂災害が発生している。災害により、人命が失われたり、多数の負傷者が出たり、避難を強いられたりするケースがある。台風の発生、上陸は例年8~9月がピークだ。今回は、風水害の増加についてみていこう。

台風の上陸数は増加傾向

 風水害が多発する背景には、台風の発生数と上陸数の増加がある。

 気象庁のデータによると、1991~2020年の30年平均で、発生数は年25.1個、上陸数は年3.0個となっている。15~19年の実際の発生数は年26~29個、上陸数は年4~6個で、いずれも30年平均を上回った。

 ただし20年は、台風の発生数が23個とやや少なく、上陸数は08年以来のゼロだった。20年は7月までインド洋の海面水温が高く、そこで生まれた上昇気流がフィリピン近海の対流活動を不活発にして台風が生まれにくかった。8月以降は日本列島に太平洋高気圧が張り出して進路を妨げたためといわれている。

 21年は、これまでに発生数が11個、上陸数が2個だ(8月10日現在)。今年の発生数は平年並みという予想があるが、8~9月の台風シーズンは警戒を怠らないようにしたい。

 気象庁によると、日本近海の平均海面水温(年平均)は、20年までの約100年間で1.16度上昇した。この上昇幅は、世界全体の平均海面水温の上昇幅の0.56度よりも大きい。

 海面水温が高いことで、台風の勢力は上陸まで衰えず、海面からの水蒸気で大量の降雨がもたらされるという。その結果、台風が河川の氾濫や大規模土砂災害などを誘発し、被害…

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篠原拓也

ニッセイ基礎研究所主席研究員

1969年、東京都生まれ。早稲田大理工卒。92年、日本生命入社。2014年から現職。保険事業の経営やリスク管理の研究、保険商品の収益性やリスクの評価、社会保障制度の調査などを行う。公益社団法人日本アクチュアリー会正会員。著書に「できる人は統計思考で判断する」(三笠書房)がある。