職場のトラブルどう防ぐ?

店主の暴言で「無断欠勤後に退職」23歳女性の給料は?

井寄奈美・特定社会保険労務士
  • 文字
  • 印刷
 
 

 フリーターのA美さん(23)は、複数の知人の飲食店を掛け持ちしながらフロア担当として働いていました。しかし、昨年来の新型コロナウイルス禍でシフトが減ってしまい、求人情報で見つけた飲食店で働くことになりました。知人以外の店は初めてでした。

 ところが、働き始めた直後に、オーナー店主(30代男性)から人格を否定されるような厳しい叱責を浴びせられてショックを受け、5日働いただけで、その後出勤せずに半ば強引に辞めてしまいました。A美さんは、どう対応すればよかったのか、また働いた5日分の給料約3万5000円は払ってもらえるのかと、筆者は相談を受けました。

店主の言動に傷つく

 この店はテークアウトが主体で、ショーケースにさまざまな総菜を並べ、顧客の注文を聞いて、その場できれいに詰め合わせた弁当を販売しています。「インスタ映え」するような見栄えのよさもウリでした。

 A美さんは、調理や盛り付けをしたことがなく、弁当を見栄えよく詰め合わせることに苦労しました。また、日替わりで20種類ほどある総菜をすべて覚えきれず作業にもたついたり、注文と違うものを盛り付けたりしてしまうことがありました。

 こうしたミスに対して、顧客から直接クレームを受けることがありました。またSNS上には、弁当の写真とともに「今日は“映えない”お弁当」「頼んだおかずと違う」といった投稿をされることもありました。

 店主は、SNS上の投稿をこまめにチェックしており、A美さんに対して「勘弁してよ」「なんで(注文を)間違えるのかなー」「普段、料理してないの?」「これはひどいよ。女子力低くない?」などと言ったそうです。A美さんは同僚のやり方を学ぼうとしていた矢先で、店主の言葉にとても傷つきました。

 A美さんはすぐに友人に相談しました。すると「その店主はパワハラ体質では? 辞めた方がいいよ」と言われました。しかし、店主に「辞める」と直接伝えると、また傷つくようなことを言われるのではないかと不安になりました。

 A美さんはその不安が拭いきれず、次のシフトを無断欠勤してしまいました。「店に行かなければ、辞めるつもりであることが店主に伝わるはず」とも考えたそうです。

 すると、すぐに店主から電話が来ました。そこで「仕事が自分には向いていないので辞めます」と伝えましたが、店主から「何を考えてるの?」「シフトに穴あけてどうするつもり?」「非…

この記事は有料記事です。

残り1642文字(全文2640文字)

井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/