東芝問題リポート

企業統治で混乱した東芝「業績は低位安定で大穴なし」

今沢真・経済プレミア編集部
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オンラインで4~6月期決算を発表する東芝の綱川智社長(右)と平田政善専務(左)=2021年8月12日(いずれも東芝提供)
オンラインで4~6月期決算を発表する東芝の綱川智社長(右)と平田政善専務(左)=2021年8月12日(いずれも東芝提供)

 東芝が8月12日に発表した2021年4~6月期連結決算は、最終(当期)損益が同期としては3年ぶりの黒字となった。東芝は社長の辞任や取締役会議長の再任否決などで混乱が続いているが、肝心の業績はどうなっているのか。決算の中身を検証する。

 まず、4~6月期の連結決算の数値を詳しく見てみよう。売上高は7278億円(前年同期比21.3%増)、営業利益は145億円(前年同期は126億円の赤字)、最終利益は179億円(同113億円の赤字)だった。

 前年同期は新型コロナウイルスの影響で売上高が急減し、営業損益、最終損益とも赤字だったが、売上高、損益とも回復した。とくに、自動車向け半導体やデータセンター向けハードディスクドライブ(HDD)が好調だったという。

事業分野ごとの黒字額は

 東芝は六つの事業分野ごとの決算数値も公表している。エネルギーシステム▽インフラシステム▽ビル▽リテール&プリンティング▽デバイス&ストレージ▽デジタル――の6分野だ。このうち4分野が営業黒字だった。

 営業黒字が最も多かったのは自動車向け半導体やHDDを柱とする「デバイス&ストレージ」で、103億円だった。前年同期の赤字46億円から黒字転換した。エレベーターや照明・空調機器などの「ビル」分野も黒字64億円で、前年同期の黒字56億円から微増し、安定した利益を出している。

 営業赤字を出した2分野も、大きな赤字額ではない。発電システムなどの「エネルギーシステム」は赤字18億円だったが、前年同期の赤字75億円に比べると額は縮小している。上下水道システムや鉄道交通システムなどの「インフラシステム」は前年同期の黒字22億円から…

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今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。