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河野行革相チームが指摘した「住民税非課税の壁」とは

渡辺精一・経済プレミア編集部
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 日本の社会保障は「住民税非課税世帯」を低所得世帯とみなし、大学無償化や保育料など多くの社会給付の基準としている。だが、非課税となるラインの年収を超えると給付が減り、かえって可処分所得が減ってしまうことがある。河野太郎・行政改革担当相の直轄チームのメンバーは7月30日に公表した論文で、これを「住民税非課税世帯の壁」と名づけ、問題点を指摘した。

児童手当「年収1200万円以上除外」の根拠は

 子育て、教育、住宅、医療、介護などの分野では、社会保険や公的扶助、福祉として、家計への「社会給付」を行っている。給付は保険料や公費でまかなっており、生活保護のように全額公費負担のものもある。

 社会給付の多くは所得制限があるが、給付の基準となる所得制限やその設定根拠は必ずしも明確ではなく、国民から意見・提案を募る「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」で疑問が多く寄せられていた。

 このため、河野行革担当相が直轄チームに調査を指示し、天達(あまたつ)泰章参事官補佐ら2人が論文にまとめ公表した。

 論文は、児童手当▽保育料▽高校就学支援金▽大学無償化▽すまい給付金▽生活保護▽高額療養費▽高額介護サービス費▽不妊特定治療支援▽遺族基礎年金▽障害基礎年金――など33の主な社会給付について調べた。

 この結果、所得制限の設定はおおむね合理的だったが、八つの社会給付については根拠が乏しかった。

 例えば、児童手当は、2021年5月に成立した法改正で、22年10月から世帯主年収1200万円以上で給付がなくなる。これは年収1195万円(所得1000万円)以上で配偶者特別控除が受けられなくなることを「参照…

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渡辺精一

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。