海外特派員リポート

米大統領と超党派議員「1兆ドル投資法案」合意の意味

中井正裕・北米総局特派員(ワシントン)
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経済政策を重視するバイデン米大統領=外遊先のスイスで2021年6月16日、鈴木一生撮影
経済政策を重視するバイデン米大統領=外遊先のスイスで2021年6月16日、鈴木一生撮影

 米上院は8月10日、バイデン大統領と超党派議員グループが合意した5年間で1兆ドル(約110兆円)規模のインフラ投資法案を可決した。長年の課題だったインフラ法案を超党派で可決したことは、「米国の結束」を訴えてきたバイデン氏の政治的な成果となった。

 超党派の合意は歴史的な成果だが、今後の下院の審議は民主党内の路線対立が絡み、複雑な状況を乗り越える必要がある。法案成立に向け、バイデン政権と民主党指導部の綱渡りが続きそうだ。米国政府と議会でいま何が起きているのか、現地からリポートする。

長年の課題だったインフラ投資

 上院が可決したインフラ投資法案は、道路、橋、電力、鉄道、高速通信網などに5年間で総額1兆ドル規模の投資を行う内容だ。バイデン氏の当初の提案は2.3兆ドル規模だったが、バイデン氏は超党派合意を優先し、共和党が反対する法人増税を見送って投資規模の縮小を受け入れた。

 今回の法案は、1950年代の高速道路網建設以来の大型インフラ投資との評価もあり、バイデン氏は「21世紀の競争に勝ち残るための歴史的な投資」とアピールする。実際、米国のインフラ老朽化は深刻化している。

 今回の投資規模でインフラ問題がすべて解決するわけではなく、オバマ、トランプ両政権が党派対立に阻まれて実現できなかった懸案がようやく実現に向け動き出したというところだ。上院議員在職36年の経歴を持つバイデン氏は、持ち前の調整力を発揮して、党派対立による「決められない政治」を打破しようとしている。

バイデン政権の大型経済対策は3法案に

 インフラ投資法案には、バイデン氏が提案した経済対策のうち、共和党が難色を示した子育て…

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中井正裕

北米総局特派員(ワシントン)

1975年京都府生まれ。立命館大学法学部卒。2000年毎日新聞入社。岐阜支局、中部報道センターを経て、09年から経済部で電力改革、貿易交渉、日銀などを取材。政治部にも在籍し、首相官邸、自民党などを担当した。18年10月から現職。