
新型コロナウイルスの感染拡大で、自分の働き方を考え直した人は多いはず。雇用不安やビジネスモデルの変容を目の当たりにし、転職への意識が強まった人も少なくないだろう。「必ずしも転職の必要はない。大切なのはキャリアの健康診断だ」と話すのは、転職市場で存在感を増すビズリーチの多田洋祐社長。変化の激しい時代を生き抜くための「キャリア論」を聞いた。【聞き手・松岡大地/毎日新聞経済部】
「一人一人の適材適所がある」
――多田社長は大学卒業後、人材ビジネスの道に進みました。元々、思い入れはあったのですか。
◆多田社長 実は大学生の時、自分のキャリア形成についてすごく考えていたかというと、そんなことはありませんでした。むしろ全く見えていなかったと思います。たまたま、ヒューマンリソース(人材開発)の領域に来て、世の中にはこれほど多くの魅力的な職種と業種があることを知りました。
「一人一人の適材適所」があるということも感じてきました。自分がエージェントとして4000~5000人の求職者と面談してきた中で、ある社で活躍できなかった人が別の会社では活躍できるという事例が数多くありました。つまり一人一人のキャリア形成には大きな可能性がある。
私自身、「仕事」や「キャリア」について、もっと早くから知っておきたかったというのが正直なところです。人生の中で仕事をしている時間はかなりの比重を占めます。人生100年時代と言われる中で、長くより良く働いていくために伴奏者になるのが、ビズリーチの目指していることです。
――かつてに比べ、仕事や就職に関する情報は充実してきています。
◆今ではインターネットがあり、どんな会社がどんな求人を出しているのかは可視化されてきています。しかし、情報があふれ、選択肢が多いからこそ、自分らしいキャリアとは何かを主体的に考える必要性が高まったと考えています。
今や、ある会社に入ることがキャリアを決めることではありませんし、会社が自分のキャリア形成まで考えてくれるわけでもありません。つまり会社がキャリアを決めてくれる時代は過ぎ去りました。
主体的に自分のキャリアを考…
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