職場のトラブルどう防ぐ?

保育所「コロナで登園自粛」子育てパートへの支援策は

井寄奈美・特定社会保険労務士
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 A子さん(31)は、あるホームセンターで管理業務をしています。社員やパートタイマーの勤怠管理やシフト調整、経費精算などの担当です。パートには子育てをしている人が多くいますが、店舗のある地域で未就学児の新型コロナウイルス感染が拡大しているため、家庭保育が可能な家庭に「登園自粛」の要請が保育所からありました。A子さんは、その対応で悩んでいます。

家庭保育をしたい人が使える休暇制度は?

 A子さんは、子どもの登園自粛を要請されたパートから「できれば家庭保育をしたいのですが、私が使える休暇制度はありますか?」と相談を受けました。子育て中のパートの多くは、コロナ禍が拡大して以降、保育所の関係者に感染者が出るたびに一定期間休園になったりしたため、年次有給休暇を使い果たしているケースが大半です。

 コロナの感染拡大が始まった昨年3月には、政府の要請で小学校の一斉休校や保育所の登園自粛が行われました。その間は、政府が実施した助成金制度を利用して、会社は時限的な措置として、対象の従業員が希望する場合、特別有給休暇を利用できるようにしました。しかし、現在はその制度がありません。

 A子さんは本社の担当者に問い合わせましたが「今年は特別休暇を設ける予定はない」と言われました。子どもを預ける場と有休がなく、困り果てて相談に来たパートに「会社として何もできないのか」ともどかしく思っています。

休校や登園自粛にどう対応

 子育てをする働く人が、新型コロナ感染拡大で影響を受ける場合の対応について整理します。

 新型コロナの感染「第5波」で新規感染者数が高い水準で推移し、最近は10代以下の感染者の割合が高まっています。夏休みが終わり、小学校が分散登校をしたり、保育所などが登園の自粛要請を出したりしています。関係者が感染すると、学級閉鎖などになる場合もあります。

 そのため、小学生以下の子どもを持つ従業員が、学級閉鎖などの影響で仕事を休まざるを得ないケースが増えています。そうした場合の会社の対応は、原則、従業員の事情による休業となります。年次有給休暇が残っていれば有休を使うことができますが、残っていなければ欠勤となってしまいます。

 昨年春の緊急事態宣言のときは、政府が「小学校休業等対応助成金」を実施しました。会社は、子どもの世話で休む従業員に特別有給休暇を付与した場合、従業員に有休として支払った賃金のほぼ同額(1日あたりの上限1万5000円)を助成金として申請することができました。勤務時間が週20時間未満で雇用保険に加入していない人も対象でした。しかし、この制度は2021年3月末で終了しました。

(※9月7日追記 厚生労働省は7日、「小学校休業等対応助成金」を再開する予定と公表しました。21年8月1日から12月31日までに取得した休暇が対象となる予定で、このあとに紹介する「新型コロナ感染症対応特例」は、21年7月31日までに取得した休暇が対象になる予定です)

(※10月4日追記 厚生労働省は9月30日、「小学校休業等対応助成金」を再開すると発表し、同日から申請の受け付けを開始しました。詳しくは同省サイトを確認してください)

今年度の助成金制度は……

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井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/