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9.11から20年 木内登英氏が見た「飛行機突入」の瞬間

平野純一・週刊エコノミスト編集部記者
オンラインでインタビューに答える木内登英さん
オンラインでインタビューに答える木内登英さん

「9.11から20年」木内登英さんに聞く(上)

 日銀審議委員を務めた野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、2001年9月11日の米同時多発テロ(9.11)をニューヨークで目撃した。事件から20年となるのを機に、当時を振り返ってもらいながら、その後の世界の経済情勢について聞いた。【聞き手は経済プレミア編集部・平野純一】

 --木内さんは9.11の時、ニューヨークの世界貿易センター(WTC)ビルの近くで働いていました。最初の民間機の突入は現地時間の午前8時46分でした。

 ◆木内登英さん 1機目が突っ込んだ時は、おそらくオフィスに着いたころでした。音が聞こえた記憶はなく、エレベーターに乗っていたかもしれません。34階のオフィスに着き、最初は東京からの電話で大変なことが起きていることを知りました。

 オフィスはマンハッタン南部で、WTCから200~300メートル南東側のウォール街にありました。ニューヨーク証券取引所もすぐ近くです。オフィスの窓からWTCは見えましたが、1機目が突っ込んだのは2棟あるうちの北西側のビル(北棟)で、オフィスからはちょうど手前のWTC南棟に隠れてよく見えませんでした。

 その日は火曜日で、私は週1回、日本のテレビの経済ニュース番組に出演して経済解説をする日でした。地下鉄で20分くらい北に行ったミッドタウンのスタジオに向かう時間でしたが、テレビ局からの連絡で、その日の出演は中止が伝えられました。

なぜか冷静にWTCを見ていた

 --その後はどうしていましたか。

 ◆オフィスの窓からWTCを見ていました。ビルから紙が舞っているのが見えました。あれは破…

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週刊エコノミスト編集部記者

1962年生まれ。87年毎日新聞社入社。盛岡支局、サンデー毎日編集部、経済部、週刊エコノミスト編集部などを経て2016年から経済プレミア編集部。23年2月から現職。金融、為替、証券、マクロ経済などを中心に取材。