経済プレミアインタビュー

昭和レトロな西武園ゆうえんちの「本当のコンセプト」

松岡大地・毎日新聞経済部記者
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「夕日の丘商店街」で音楽隊としてパフォーマンスを繰り広げるキャストら=埼玉県所沢市の西武園ゆうえんちで2021年5月、北山夏帆撮影
「夕日の丘商店街」で音楽隊としてパフォーマンスを繰り広げるキャストら=埼玉県所沢市の西武園ゆうえんちで2021年5月、北山夏帆撮影

 はやり廃りの波に洗われやすく、人気の維持が難しいテーマパークの再生を次々と手がける会社がある。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)をV字回復させた森岡毅氏が率いるマーケティング会社「刀」だ。今年5月にリニューアルオープンした西武園ゆうえんち(埼玉県所沢市)の再生に加え、今後は沖縄でのテーマパーク建設も計画する。人々を引きつける秘訣(ひけつ)は何か。創業期から刀に参画する森本咲子チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)に聞いた。

マーケティングの専門家集団「刀」の森本咲子CMOに聞く

 まず刀がどんな会社か見ていきたい。

 刀は2017年設立で、ブランド戦略の専門家や弁護士、公認会計士、イベントの企画や運営を担うメンバー約50人が在籍している。これまでに丸亀製麺やネスタリゾート神戸の再生などを手掛けてきた。

 森本CMOは、最高経営責任者(CEO)の森岡氏と同じP&G出身で、USJの再生にも関わったマーケティングの専門家だ。

 西武園ゆうえんちは、入場者数が1988年度の194万人をピークに下降線をたどり、19年度は約38万人まで減少していた。再生を託された刀は、昭和レトロをテーマに据えた。

「売り物がない」……途方に暮れた着手時

 ――リニューアルでは、高度経済成長期の昭和をモチーフにした商店街を造りました。再生の方針は、どのように決まったのですか?

 ◆森本CMO 最初に西武園ゆうえんちの活性化を西武ホールディングス(HD)の後藤高志社長から依頼された時、施設はかなり老朽化が進み、見渡しても「これが売り物だな」というものが一つも見当たりませんでした。正直言えば、どう料理するか、途方に暮れました。

 一方、西武グループと我々が合意した哲学は、需要以上の投資はしないということ。限られた経費を使って、この遊…

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松岡大地

毎日新聞経済部記者

1989年岩手県生まれ。青山学院大卒。地元のテレビ局勤務を経て、2014年9月、毎日新聞社入社。静岡支局を振り出しに19年5月から東京経済部。これまで証券、メガバンク、自動車業界を担当。現在は特定の担当を持たずにさまざまなテーマを取材する遊軍。