人生に必要な「おカネの設計」

64歳男性「資産が92歳で底つく」老後プランの見直し方

岩城みずほ・ファイナンシャルプランナー
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 A夫さん(64)は再雇用の契約社員として働いていますが、来年4月で契約期間が終わります。コロナ禍で契約社員などでの再就職が難しく、リタイアすることになりそうです。体調は良好で、100歳まで生きることを前提に老後の生活費について私のところに相談に来ました。

資産が足りない?

 A夫さんは、独身で1人暮らしをしています。現在の収入は、給与、高年齢雇用継続給付金(注)、特別支給の老齢年金、個人年金保険給付金で年約300万円です。支出は住宅ローンの返済を含め年約400万円で、年100万円ほどを資産から取り崩しています。リタイアの時点で住宅ローンは完済となり、残る資産は1600万円ほどです。

 リタイア後の収入は、公的年金が年約190万円(手取り年約176万円の見込み)と個人年金保険が年36万円です。支出は年240万円ほどに抑えて、個人年金保険がある70歳までは年28万円を資産から取り崩し、70歳以降は年64万円を取り崩す計画だといいます。

 ただ、この計画では、今後大きな支出がなかったり、高インフレが起こったりしない場合でも、資産を保てるのは22年ほどです。92歳の時点で資産が底をつきます。

年金の繰り下げ受給のメリットは

 そこで私は、公的年金の繰り下げ受給をA夫さんに提案しました。現在、繰り下げ受給をしている人はおよそ1%ですが、人生100年時代を生きていく上で有効な選択肢です。

 繰り下げ受給は、原則65歳からの年金受給開始を1年以上遅らせて66歳以降にすることで、その分、年金額が増額される仕組みです。1カ月繰り下げるごとに年金額は0.7%増えます。

 現在は66~70歳までの任意のタ…

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岩城みずほ

ファイナンシャルプランナー

CFP認定者、オフィスべネフィット代表、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、中立的な立場で顧客の利益を最大限にするコンサルティングを実践し、講演や執筆活動も行っている。著書に「人生にお金はいくら必要か」(共著、東洋経済新報社)、「やってはいけない!老後の資産運用」(ビジネス社)などがある。