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さらば石炭火力?大手商社5社「脱石炭」の通信簿

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新興国では石炭火力に一定の需要がある中、商社の事業撤退・縮小のあり方も問われた (Bloomberg)
新興国では石炭火力に一定の需要がある中、商社の事業撤退・縮小のあり方も問われた (Bloomberg)

 総合商社の石炭関連の資産売却が今年に入り加速している。まず2月に、伊藤忠商事がコロンビアの一般炭(発電用石炭)「ドラモンド炭鉱」の権益20%全てを米石炭企業「ドラモンド」に売却することを発表した。6月には三井物産がインドネシアのパイトン石炭火力発電事業の持ち分45・5%全てを、タイで発電事業などを営む「ラート・グループ」に売却することで合意、8月には住友商事が豪州ロレストン一般炭権益12・5%の全てを、スイス資源大手「グレンコア」に売却することで合意したと発表した。これらの動きは、以下に述べる温室効果ガス削減目標が背景にある。

鉄鋼用石炭は残る

 ESG(環境、社会、ガバナンス)の機運が高まるなか、E(環境)の面では特に温室効果ガスの削減に対する社会からの要求が強まり、総合商社各社からの温室効果ガス削減目標発表が相次いでいる。大手商社5社の中では三井物産が最も早く昨年5月に2050年ネット(実質)ゼロ、30年に20年比半減という目標を発表。昨年6月には住友商事(今年5月に目標引き上げ発表)、今年3月には丸紅、5月には伊藤忠が温室効果ガス削減目標を掲げた。現時点では、4社とも50年は温室効果ガス(あるいは二酸化炭素)ネットゼロを意味する目標を掲げる。

 こうした「長期的な削減意思」に対して、より近い将来での、より定量的な「マイルストーン(道標)」として、30年の自社目標値を設定する企業がほとんどである。SDGs(国連の提唱する持続可能な開発目標)が30年の目標であることも影響している。あと8年ほどしかない近い将来であるため、温室効果ガス排出が相対的に高く、社会からの批判も多い石炭…

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