
近年、駐車場の「空き」に悩む分譲マンションが増えている。駐車場を利用する居住者が負担する使用料は、マンションを維持管理するための重要な収入源になっており、空き区画が増えれば、マンション管理組合の財政に深刻な影響を与える可能性があるからだ。
車離れと高齢化「駐車場不足から過剰へ」
マンションの駐車場は、つい十数年前までは「不足」が課題で、マイカーを所有する居住者の数より駐車場区画が少ないことに苦慮するところも多かった。それが一転「空き」が問題になっているのは、急速に車離れが広がっていることや、マンション居住者が高齢化していることが背景にある。
若い世代では車を必要としないライフスタイルが広がっており、車を所有せずに利用できるカーシェアリングも普及してきた。また、シニア層には郊外の一戸建てから駅近マンションに住み替えるのを機に車を手放すという動きもある。利便性が良い場所ほど車を持たない世帯が多くなっている。
自動車検査登録情報協会によると、首都圏1都3県の自家用乗用車の世帯当たり普及台数は2007年の0.82台から21年には0.74台に減った。
これに伴いマンションの駐車場設置率(住戸数に対する駐車場区画の割合)も急低下している。不動産経済研究所によると、首都圏マンションの駐車場設置率は07年の77.3%をピークに低下し17年上期(1~6月)は42.2%に落ち込んだ。
こうした環境変化から、建設時に十分な駐車場区画を備えたのに、すでにそれを満たすようなニーズは消えてしまったというマンションが増えているのだ。
初期設定は低い「管理費と修繕積立金」
それでは、駐車場の「空き」がな…
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