職場のトラブルどう防ぐ?

再雇用の61歳男性「仕事合わず退職」失業保険や年金は

井寄奈美・特定社会保険労務士
  • 文字
  • 印刷
 
 

 A夫さん(61)は、大卒で入社した工業用機械メーカーを勤め上げて今年3月末に定年を迎え、4月以降は1年契約の嘱託社員として働いていました。しかし、配属された部署の仕事が合わず、9月末で退職することにしました。「転職先を探しますが、退職後に失業保険はもらえるのか、年金はどうすべきかわかりません」と筆者は相談を受けました。

仕事が合わず退職

 A夫さんは、定年前は長年、工業用機械のメンテナンス業務を担当していましたが、定年後は部署が変わり、製品などの出庫・荷受けの担当になりました。メンテナンス業務とは異なり、体を使う仕事が大半で、夏場の作業場は暑さとの戦いでした。

 事務所で事務作業をすることもありましたが、慣れないため時間がかかりました。仕事を覚えるために最後まで終わらそうと作業をしていると、年下の上司から「就業時間内にできるところまでで大丈夫です。嘱託社員には残業をさせないルールです」とたびたび終業前に言われ、事務所に居づらさを感じるようになりました。

 A夫さんは、定年前と比べて給料が半減していました。慣れない肉体作業に加えて、職場の人間関係もうまくいっているとはいえず、退職することにしました。定年時に退職金が出ており、蓄えが少しあります。妻はパート勤務をしていて、子供たちはすでに独立しているため、当面の生活には困りません。しかし、税金などの支払いがあり、自分の収入がゼロになるのが不安です。

 次の仕事を探すつもりですが、コロナ禍でもあり、すぐに決まるとは思えません。仕事がない間、失業保険はもらえるのか、年金を前倒しでもらうべきなのか悩んでいます。

失業保険の給付期間は?

 定年後に再雇用で働いていた人が退職した場合の失業保険(失業給付)、年金、税金などの取り扱いについて説明します。

 まず、失業給付です。失業給付は、雇用保険に1年以上加入していた会社員が退職し、勤務ができる健…

この記事は有料記事です。

残り1578文字(全文2374文字)

井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/