産業医の現場カルテ

在宅勤務で「常にイヤホン」30代男性の“難聴リスク”

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 瀬谷さん(30代男性、仮名)はIT企業のシステムエンジニアで、チームリーダーも務めています。新型コロナウイルスの感染拡大以降、自宅でリモートワーク(在宅勤務)をしていますが、「オンラインの打ち合わせが増えて、イヤホンを使っているせいか、最近耳に痛みを感じます」と相談を受けました。

業務中は常にイヤホン

 現在、会社は会議などをすべてオンラインで行っています。瀬谷さんは、会議以外でもチームのメンバーと打ち合わせをすることが多くあります。「業務中は常にイヤホンをしているような状況です。耳の痛みも気になりますが、その痛みが聴力の低下につながるのではないかと不安です」といいます。

 自宅では寝室を仕事部屋としていますが、小さい子供がいて、家の中で騒いでいたりすると、打ち合わせ中にイヤホンの音量を大きくすることがあります。子供が静かになり、次の打ち合わせが始まったときに、音量の大きさに驚くことがあるそうです。

 大音量で音楽などを聴き続けることで「イヤホン(ヘッドホン)難聴」が起こる場合があります。世界保健機関(WHO)は、スマートフォンなどの普及で、特に若者たちがイヤホン難聴のリスクにさらされていると警告しています。

難聴になるリスクは

 イヤホン難聴は、耳の奥にある、音を伝える役割を持つ有毛細胞が大きな音で徐々に壊れることで起こります。耳は、100デシベル程度(窓を開けた地下鉄車内やヘアド…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。