ニッポン金融ウラの裏

みずほ「持ち株会社の経営陣」に恨みが向かう行内事情

浪川攻・金融ジャーナリスト
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店頭での取引が停止していることを知らせるみずほ銀行の張り紙=東京都千代田区で2021年8月20日、宮武祐希撮影
店頭での取引が停止していることを知らせるみずほ銀行の張り紙=東京都千代田区で2021年8月20日、宮武祐希撮影

みずほ6度の障害(下)

 みずほフィナンシャルグループのシステム障害がとどまるところを知らない。9月8日にもみずほ銀行の約100台の現金自動受払機(ATM)が一時的に停止し、インターネットバンキングも一時使えなくなった。障害は今年7回目だ。

 システムを統括する持ち株会社の経営陣に、行内から一段と厳しい視線が向けられている。ある法人部長(支店長に相当)は「社外取締役まで含め、経営陣にすべての責任がある。総退陣だ」と声を荒らげる。

 金融機関でこれほど激しい経営批判が行内から聞かれるのはまれだ。障害の収束が見えないことがそうさせているのだが、みずほの場合は別の事情がある。

3行統合の歴史

 みずほグループは2000年に第一勧業、富士、日本興業(興銀)の旧3銀行が経営統合して発足した。第一勧業と富士は全国に支店網を持つ都市銀行で、中小企業から大企業まで多数の取引先企業を抱える「商業銀行」だった。一方、興銀は支店数が限られた長期信用銀行で、重厚長大産業への融資を主要業務としていた。

 いま、みずほフィナンシャルグループの上層部は、坂井辰史社長ら旧興銀出身者が多くを占める。その上層部に対して「商業銀行の現場を知らない」との批判が噴き出している。

 みずほは障害発生時、取引先を他行に誘導して送金手続きなどをしてもらい、みずほでコストを負担することを決めた。行員が取引先企業にそう伝えたところ、「『そんな問題ではない!』と突き放された」と言う。送金ができないと違約金が発生する企業もあり、「銀行に送金を安心して任せられない」事態は極めて深刻なのだ。

 ある支店長は「みずほ銀行の上層部に、障害に関するき…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。