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JR東日本「新幹線料金改定」で始まる変動運賃の未来

土屋武之・鉄道ライター
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北陸新幹線=JR東京駅で2019年10月25日、竹内紀臣撮影
北陸新幹線=JR東京駅で2019年10月25日、竹内紀臣撮影

 JR東日本の深沢祐二社長が9月7日の定例記者会見で、繁忙期における新幹線の特急料金(指定席)を値上げし、閑散期には値下げする方針を示した。現在、他のJR各社とも協議中といい、導入は2022年春がめどという。今も普通車指定席は繁忙期の特急料金が200円高く、閑散期は200円安いが、この幅をさらに拡大するということだ。

 繁忙期は夏休み期間や年末年始などを指し、閑散期は1月下旬~2月下旬といった利用客が少なくなる時期の月~木などで設定されている。時季や時間帯によって運賃を変える「変動運賃制」にもつながる流れであり、JR東日本は通勤定期での導入を検討中であることも明らかにしている。

割引制度はすでにある

 変動運賃の制度自体は特段、珍しいものではない。飛行機や高速バスではすでに広く採り入れている。例えば羽田空港─新千歳空港で日本航空を利用する場合、普通運賃(普通席)は通常期が3万8200円、ピーク期は4万600円だ。

 もっとも早期購入割引など、場合によっては1万円以下で搭乗できる便もある。事実上の「値下げ」はすでに割引制度によっても行われていることは押さえておきたい。

 JR各社でも利用率が高くない列車などを対象に、割引という形で値下げを行っている。JR東日本の新幹線ではインターネット予約限定の「えきねっとトクだ値」などがあり、東京─新青森が1万7470円のところ、期間限定で8730円と約半額になるケースもある。

 いずれにせよ、こうした施策は、繁忙期や混雑時間帯に集中する乗客を、閑散期や利用が少ない時間帯に誘導する目的で行われる。鉄道の輸送力は、朝夕のラッシュ時など最も混雑する時間帯に…

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土屋武之

鉄道ライター

1965年、大阪府豊中市生まれ。大阪大学で演劇学を専攻し、劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。出版社勤務を経て97年に独立し、ライターに。2004年頃から鉄道を専門とし、雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事などを担当した。東日本大震災で被災した鉄道路線の取材を精力的に行うほか、現在もさまざまな媒体に寄稿している。主な著書に「ここがすごい!東京メトロ」(交通新聞社)、「きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)など。