
「日本にはタリバンがいないのに、何でこんなに女性の活躍が遅れてきたのか不思議に思う」
小池百合子東京都知事が9月10日の定例記者会見で、これまでの自民党総裁選に立候補した女性が、2008年の小池氏1人だったことについてこう言った。女性の権利を厳しく制限すると世界中から懸念されているアフガニスタンのイスラム主義組織タリバンにひっかけたところは、小池氏らしく巧みだった。
過去どころか目下の自民党総裁選も“タリバン並み”。高市早苗前総務相はさまざまなテレビ番組に出演し発信しているが、男性議員からの“抑圧”を恐れてか、女性性を極めて抑制しているように見える。
例えば、テレビの情報番組で、高市氏と同じ奈良が郷里の映画監督の河瀬直美さんが、日本の女性の「ガラスの天井」をどう考えるかという趣旨の質問をしたのに対し、高市氏は「女性は子供のころから女性ホルモンに左右される。従って、女性総合診療科を増やしたい」と答えたが、はぐらかしにしか思えず、ひっくりかえりそうになった。
存在感示すキングメーカー
候補者より存在感を示しているのは、“キングメーカー”と呼ばれる「おっさん」。ここで言う「おっさん」とは、いわゆる安倍政権的なものや、男性中心の自民党政治的なものの象徴でもある。自主投票を求める当選1~3回の国会議員の動きでも女性が見えない。ついでに言うと、野党陣営でも。
総裁選で小池さんは「タリバン」を想起したが、私はよしながふみさんの漫画「大奥」(白泉社)を思い出した。若い男性だけがかかる疫病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」で男子の人口が激減した結果、第三代家光から女性が将軍となり、男性だけの大奥が…
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