ニッポン金融ウラの裏

総裁選で「8年続く超金融緩和」がスルーされる問題点

浪川攻・金融ジャーナリスト
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自民党総裁選立候補者討論会で意見を述べる河野太郎行政改革担当相(左奥)と意見を聞く(手前から)野田聖子幹事長代行、高市早苗前総務相、岸田文雄前政調会長=2021年9月18日、吉田航太撮影
自民党総裁選立候補者討論会で意見を述べる河野太郎行政改革担当相(左奥)と意見を聞く(手前から)野田聖子幹事長代行、高市早苗前総務相、岸田文雄前政調会長=2021年9月18日、吉田航太撮影

 自民党総裁選がヤマ場を迎えている。新型コロナウイルス対策など争点はいくつかあるが、安倍晋三政権が発足し、「アベノミクス」を打ち出して以来、8年半の間継続されている異次元の金融緩和政策は見過ごせないポイントだ。しかし、今のところ、大きな論点にはなっていない。

欧米では「出口」の議論

 新型コロナ問題が深刻化して以降、欧米諸国で積極的な金融緩和が実行されてきた。低金利政策はもちろん、中央銀行が国債などを購入する量的緩和も行われている。そして最近になって、経済の回復傾向とインフレ懸念の観点から、量的緩和の見直しである出口政策が具体的に議論されている。

 そうした世界的情勢のなかで、わが国は置いてきぼりに近い。新型コロナ問題が深刻化する以前から、異次元の量的緩和やマイナス金利という強烈な金融緩和政策を実施してきたからだ。

 この超金融緩和政策を巡って、日銀はその効果と副作用を定期的に点検する作業を行ってきた。だが、政治の世界では改めて政策を点検するアプローチはほとんどみられない。「ひたすら政策を踏襲しているだけ」(外資系銀行幹部)に見える。

総裁選は点検の絶好の機会だが…

 政府は日銀と2013年に政策合意を結び、「2%のインフレ」という目標を共有化してきた。日銀と同様に、その効果と副作用を点検する立場にある。菅義偉首相はアベノミクスを継承する姿勢を明確にしてきたが、経済政策の柱を定期的にチェックする必要性がある。

 岸田文雄、高市早苗、河野太郎、野田聖子の4候補による自民党総裁選はその絶好の機会であるはずだ。ところが現状、超金融緩和政策の効果や長期間続ける副作用への懸念といった議論がまっ…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。