熊野英生の「けいざい新発見」

次期首相の人気高まれば株価は“リベンジ上昇”か?

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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自民党総裁選の候補者記者会見前に記念写真に納まる(左から)河野太郎氏、岸田文雄氏、高市早苗氏、野田聖子氏=2021年9月17日、竹内幹撮影
自民党総裁選の候補者記者会見前に記念写真に納まる(左から)河野太郎氏、岸田文雄氏、高市早苗氏、野田聖子氏=2021年9月17日、竹内幹撮影

 自民党総裁選に反応して株価が急上昇した。誰が次の首相になるかは現時点でまったく読めないが、それでも、9月3日に菅義偉首相が総裁選不出馬を決めたときから、この株価上昇は始まった。

 株価上昇の背後にあるのは、菅政権より強力な政権が誕生し、経済改革を推進することへの期待感だ。総裁選後に控えている衆院選で、新しい首相が選挙の顔として与党を勝たせ、その後も新閣僚が幅広い分野で経済成長を演出していく--というシナリオだ。2022年7月には参院選もあるため、新首相が参院選でも与党が勝利するために、株式市場の期待に応える政策運営をするだろうという連想も働く。

 今後は、(1)誰が総裁選で勝つか(2)新内閣はどのような顔ぶれになるか(3)組閣後の政権はどのような主要政策を打ち出すか(4)衆院選で与党は勝つか(5)コロナ対策の見直しが感染収束にうまく導くか--といった要素がはっきりすることで、株価はさらに上昇する可能性がある。

岸田氏は新自由主義を批判

 では、総裁選候補者4人の主要な経済政策をみていこう。告示後なので届け出順に記すべきかもしれないが、ここでは時系列で、立候補を表明した順番に見ていく。

 まずは岸田文雄氏である。岸田氏は、事前に入念な準備をしていたと考えられるので、政策メニューはよく吟味されている。新自由主義を批判し、より分配に重きを置く。賃上げを推進して、その結果、家計所得が増えて中間所得層を復活させるとする。令和版所得倍増を掲げている。

 分配の手前の成長促進は、(1)イノベーション(2)デジタル化(3)クリーン・エネルギーの推進などで達成するという。イノベーションは10兆円のファ…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。