イマドキ若者観察

コロナ禍で女子学生の「内定」が男子より遅れる不思議

藤田結子・明治大商学部教授
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就活は学生にとって重要だ。企業は男女とも平等にキャリア形成の機会を与えるべきだ
就活は学生にとって重要だ。企業は男女とも平等にキャリア形成の機会を与えるべきだ

 来年4月入社の内定を得た学生の多くは、10月上旬に企業の内定式に参加します。女子学生の就職活動の状況は以前より改善しましたが、今年の就活でも女子学生から厳しい現実がうかがえました。

人気企業の内定で男女格差

 以前、私は著書「ワンオペ育児」(毎日新聞出版、2017年)や、今まで務めた大学の講義などを通じ、同じくらいの能力であっても、男子学生の方が女子学生よりも早く、より人気の高い企業に内定が決まっていく状況を伝えました。

 学生の中には優秀な人がいます。創造的な課題で良い成果を出し、発表も上手で、勤勉かつ社交的。その学生が男性であれば、引く手あまたで、人気の高いIT企業、総合商社や大手広告代理店から早々に内定をもらってきます。しかし、ほんの数年前まで、それが女性であれば、そんな人気企業から内定は出にくかったのです。

 これは全国的な状況でした。厚生労働省の「コース別雇用管理制度の実施・指導状況」(2010年度)によれば、企業の総合職採用者の女性の比率をみると1割程度。男性の倍率が17倍なのに対し、女性は63倍と相当厳しかったのです。

コロナ禍で遅れる女子の内定獲得

 しかし、筆者の周囲では2017年以降、女子学生もコンサルやITなどの人気企業の内定を獲得するようになり、男子学生に近づいてきました。2016年施行の女性活躍推進法の成果があったのだと思います。最近では、丸紅が新卒総合職採用に占める女性の割合を4~5割にすると発表し、話題になりました。

 しかしコロナ禍により、2021年3月卒の学生は、女子の内定獲得が男子よりも遅くなっていると報道されました。コロナ禍の影響で、旅行会社や…

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藤田結子

明治大商学部教授

東京都生まれ。慶応義塾大を卒業後、大学院留学のためアメリカとイギリスに約10年間滞在。06年に英ロンドン大学で博士号を取得。11年から明治大学商学部准教授、16年10月から現職。専門は社会学。参与観察やインタビューを行う「エスノグラフィー」という手法で、日本や海外の文化、メディア、若者、消費、ジェンダー分野のフィールド調査をしている。