産業医の現場カルテ

在宅勤務で頭痛「冷やす?温める?」症状で違う対応

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
  • 文字
  • 印刷
 
 

 産業医である私は今年の春先に、ある会社で事務職を務める相馬さん(仮名、30代女性)からオンラインで相談を受けました。「もともと頭痛もちですが、新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務をするようになってから頭痛の頻度が増えています」といいます。季節の変わり目や天候の悪い日が続くと、痛みがひどくなるそうです。

頭痛の頻度が増加

 相馬さんはほとんどの仕事をパソコンでこなしており、頭痛が始まるとパソコンの画面を見るのがつらくなることがあります。

 以前は頭痛が月数回程度で、市販薬を服用して対応していましたが、在宅勤務が始まってしばらくすると、週に何度か頭痛に見舞われるようになりました。薬を飲んでも痛みが治まるまでに時間がかかり、仕事が進まないことがしばしばあるといいます。

 仕事の仕方を確認すると、パソコンの前で長時間座ったままの姿勢でいることが多くありました。また、在宅勤務になってからは間食として好物のチョコレートやチーズをよく食べるようになっていました。

一度は精密検査を

 頭痛は大きく三つに分けられます。風邪や二日酔いによる「日常的な頭痛」▽「脳の病気が原因の頭痛」▽反復性のある「慢性頭痛」です。

 脳の病気が原因の頭痛には注意する必要があります。急に激しい痛みが出たり、体がしびれたり、意識が混濁したりする場合は、くも膜下出血などの急性疾患を疑います。

 慢性的に続く頭痛の場合も脳腫瘍などの疾患が原因になっている可能性があります。私は、相馬さんに一度は精密検査を受けるよう伝えました。

日本人の3人に1人が慢性頭痛

 一方、慢性頭痛は、日本人の3人に1人が悩まされていると言われます。私は…

この記事は有料記事です。

残り950文字(全文1644文字)

佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。