経済プレミア・トピックス

自民党岸田氏「核のごみ処分10万年が300年に」は本当か

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
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自民党総裁選立候補者討論会に出席した岸田文雄前政調会長=東京・内幸町の日本記者クラブで2021年9月18日(代表撮影)
自民党総裁選立候補者討論会に出席した岸田文雄前政調会長=東京・内幸町の日本記者クラブで2021年9月18日(代表撮影)

 自民党総裁選に出馬した岸田文雄前政調会長の核燃料サイクルをめぐる発言が波紋を広げている。脱原発を持論とする河野太郎行政改革担当相との討論で出た発言だが、一体どんな内容なのか。

 岸田氏の発言は、自民党総裁選立候補者による日本記者クラブ主催の9月18日の討論会で飛び出した。討論会は候補者が相手を指名して質問し、相手が答えた後、さらに質問者がコメントして終わるという方式だった。

原発再稼働と核燃サイクルで討論

 今回の総裁選で河野氏は原発の再稼働を認めると発言し、メディアの注目を浴びた。そこで原発推進の岸田氏は河野氏に「原発の再稼働を認めるとおっしゃったが、問題はその先だ。原発の再稼働を認めたが、核燃料サイクルは止めるとおっしゃった。これは両立するものなのか」とただした。

 河野氏は「今の原子力発電の最大の問題は『核のごみ(高レベル放射性廃棄物)』の処理が決まっていないことだ。使用済み核燃料を再処理してもプルトニウムの使い道がない」などと、核燃料サイクルを見直すべきだとの持論を展開した。

 これに対して岸田氏は「使用済み核燃料の問題があるのはその通りだ。ただ、使用済み核燃料を再処理すると、廃棄物の処理期間は300年、直接処分すると10万年かかるといわれている。この処理の問題をどう考えるのか」とコメントした。

 討論のルールに基づき、河野氏に反論の機会はなく、言わば岸田氏の言いっ放しで終わった。専門的な話のせいか、メディアでは大きく取り上げられることもなかったが、エネルギー政策に詳しい関係者の間では「300年とはどこから出てきた話なのか。原子力ムラでも聞いたことがない」などと話題になった。

10万年が300年に短…

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川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部