人生100年時代のライフ&マネー

高校家庭科で「金融教育」一歩前進でも喜べない理由

渡辺精一・経済プレミア編集部
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 高校の必修科目、家庭科の授業で2022年度から「金融教育」が本格導入される。改定する新学習指導要領は、家計の「資産形成」も盛り込み、高校生は株式や投資信託などの基本的な金融商品についても学ぶことになる。世界で金融教育が必須とされるなか「後進国」とされてきた日本にとっては一歩前進だが、なお課題も多い。

投資家視点に踏み込む

 学習指導要領は約10年に1度見直し、社会情勢を反映した改定を行っている。

 高校家庭科では、これまでも「消費生活と生涯を見通した経済の計画」として家計管理を扱ってきた。だが、内容は、不測の事態への備えとして貯蓄・保険が重要であることや、クレジットカード利用や多重債務の問題点など、トラブルを回避する「消費者」の視点に偏っていた。

 この家計管理について、新学習指導要領は「将来の予測が困難な時代のリスク管理の考え方についても理解できるようにする」と踏み込んだ。

 人生で特に多額の資金がかかる「教育、住宅、老後」のほかにも「事故や病気、失業などのリスクへの対応策も必要であることを理解する」とし「株式、債券、投資信託」など基本的な金融商品のメリットやデメリット、資産形成の視点などを挙げた。

 16年の中央教育審議会答申は、技術進歩で予測困難な時代が到来するなか「自ら考え主体的に生きる力」が重要と説いた。これを高校家庭科で具体化したのが「家計のリスク管理」というわけだ。

タブーから「伝えたいこと」へ

 一昔前までは、学校教育で「お金」を扱うことはタブー視されていた。「リスクの伴う投資や金もうけの話をすべきではない」「公平・平等が重要であり、汗水流して働かずに金を得るのは不正だ」という道徳観が覆っていた。

 しかし、ここ10年ほどで流れは大きく変わり、金融…

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渡辺精一

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。