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もし衆院選に「オーディション番組」の手法を取り入れたら

田邊真以子・総合系コンサルティング会社・新規事業コンサルタント
衆院選アプリのイメージ
衆院選アプリのイメージ

 昨今、アジア圏を中心にアイドルグループを生み出すオーディション番組が一大ブームを形成している。韓国の番組に日本人が参加したり、日本の番組に海外からも多数の投票が集まったりと、国境を超えた広がりを見せる。

 10月中にも始まる衆院選。コロナ禍で政治への関心は高まっていると言われるが、低迷中の投票率は回復するのだろうか。今回は、若者たちから絶大な支持を受ける韓国発のオーディション番組をヒントに、「若者が参加したくなる選挙の形」を考えていきたい。

今日のヒント「視聴者参加型オーディション番組」

 ブームをけん引する韓国では、2015年前後から番組が増え始め、K-POP好きの日本人の間でオーディション番組は身近なものとなっていた。私は18年に韓国の人気オーディション番組とAKB48グループがタイアップした「PRODUCE(プロデュース)48」を見て番組の仕組みや演出に感心し、それ以来、注目するようになった。

 日本での本格的なブームのきっかけとなったのは、19年から約1年間、韓国と日本の音楽事務所が合同で開催したガールズグループオーディション「NiziProject(ニジプロジェクト)」だろう。番組は、インターネット上で有料配信されていたが、日本テレビの情報番組「スッキリ」で毎週放送され、時間差でYouTubeにも無料公開されたため、多くの人をとりこにし、一世を風靡(ふうび)した。

 ただ、「NiziProject」は令和のブームの火付け役に過ぎず、花の中三トリオやピンクレディーらを輩出した「スター誕生!」、モーニング娘。を生んだ「ASAYAN」など、昭和・平成時代にも日本発のオーディション番組が流行していたことは忘れないでおきたい。

 従来の日本のオーディション番組は、プロデューサーや審査員が合格者を選ぶ形式だったが、今ブームの中心にあるのは、一般の投票で合格者が決まる視聴者参加型の番組だ。番組公式サイトや専用アプリから自分が応援する候補者に無料で投票でき、その票数で順位とデビューメンバーが決まる。

 熱心なファンになると「自分たちの力で絶対にデビューさせてあげたい」と…

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総合系コンサルティング会社・新規事業コンサルタント

1990年生まれ。青山学院大学卒業後、毎日新聞社に入社。広告部門で自治体・大学・不動産会社等の広報マーケティング支援を担当した後、経営企画室にてベンチャー企業投資や新規事業に従事。「全国高校eスポーツ選手権」を立ち上げ、国内におけるeスポーツブームを牽引した。2019年から現職で、クライアントの新規事業を支援。