経済プレミアインタビュー

「45歳定年」が問う雇用変化と”働かないおじさん”問題

三上剛輝・毎日新聞経済部記者
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人混みの中、マスクを着けて行き交う大勢の人たち=東京都新宿区で2020年3月30日、喜屋武真之介撮影
人混みの中、マスクを着けて行き交う大勢の人たち=東京都新宿区で2020年3月30日、喜屋武真之介撮影

 サントリーホールディングスの新浪剛史社長が提言した「45歳定年制」は、なぜ炎上したのか。この発言が日本社会に問いかける本質とは--。2回に分けて識者に聞くシリーズの後編は、「若者はなぜ3年で辞めるのか?」「7割は課長にさえなれません」などの著書で知られる人事コンサルタントの城繁幸さんです。今回の発言に、城さんは自分のキャリアを「会社任せ」にできなくなった時代の変化や「働かないおじさん」問題の存在を読み取ります。(前編「「45歳定年は強者の論理」背後にある”経営者の無能”」参照)【聞き手・三上剛輝/経済部】

人事コンサルタント・城繁幸さんに聞く

 ――炎上の原因をどうみますか。

 ◆城さん 言わんとしていることは理解できますが、正直、「定年」という表現が悪かったと思います。「首切りではない」と弁明していますが、労働者サイドはどうしても会社や仕事をやめることを連想してしまいます。

 年功賃金制が残る多くの日本企業で働く人は、若いうちは低賃金です。「新卒・一括採用」の多くは配属が決まるまで何の仕事をするか分からず、会社都合の人事異動でジョブローテーションをする。会社の指示を通して個人のキャリアが作られてしまうわけです。その代わり会社は給与を段階的に引き上げつつ定年まで雇用しますという関係です。

 こういった年功賃金・終身雇用制度では、40代は、これまで我慢して働いた分をようやく回収できる「ボーナスステージ」ともいえる時期です。子どもの教育費や住宅ローンなどでお金がかかる時期と重なることも多い。なので「そこでリセットされるのはどうなの」となる人は多いでしょう。

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三上剛輝

毎日新聞経済部記者

 1982年名古屋市生まれ。名古屋大経済学部卒。中部地方の経済紙記者を経て、2009年毎日新聞社入社。岐阜支局、中部報道センターを経て、19年10月から東京経済部。主に保険業界や信託銀行、株価の動向を取材している。