経済プレミア・トピックス

岸田首相が任命した「脱原発閣僚」のサプライズ発言

川口雅浩・経済プレミア編集長
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岸田内閣が発足し、初閣議後の記念撮影に臨む岸田首相(中央)ら新閣僚たち=首相官邸で2021年10月4日、幾島健太郎撮影
岸田内閣が発足し、初閣議後の記念撮影に臨む岸田首相(中央)ら新閣僚たち=首相官邸で2021年10月4日、幾島健太郎撮影

 岸田内閣が発足し、原発をめぐるエネルギー政策の行方が注目されている。前任の菅内閣では河野太郎行政改革担当相と小泉進次郎環境相のコンビが脱原発と再生可能エネルギーを推進した。両氏が去った今、岸田内閣は原発推進にかじを切るのだろうか。

 新内閣発足から一夜明けた10月5日、新閣僚の閣議後会見が初めて開かれた。とりわけエネルギー政策を担当する萩生田光一経済産業相と山口壮環境相の発言が注目された。そこで、ちょっとしたサプライズがあった。

 新たに大臣が就任すると、霞が関の中央官庁は新任の大臣に一夜漬けともいえる短期集中のレクチャーを行う。大臣就任の記者会見に臨むためだ。

 官僚たちは、その官庁が抱える懸案の政策について大臣に説明。記者会見で大臣が質問されるであろう想定問答を周到に用意し、大臣に「こう聞かれたら、こう答弁してください」と伝授する。

 ただし、政策に詳しい政治家が大臣になると、必ずしも官僚の振り付け通りに発言するとは限らない。政治家としての信念で自らのカラーを打ち出す場合もある。初入閣でブルブル震えながら会見に臨む大臣もいれば、堂々と自説を解く大臣もいる。

「核燃料サイクルは進める」と萩生田経産相

 そんな観点で萩生田、山口両氏の会見を見ると、これまでエネルギー政策に携わった経験が少ない萩生田経産相の発言は、経産省のレクチャー通りという印象だった。萩生田氏は安倍晋三元首相の側近だ。これまで文部科学相を務めるなど文教族と目され、エネルギー政策には必ずしも明るくない。

 萩生田氏は「安全最優先で原発再稼働を進めていきたい。使用済み核燃料を再処理し、回収したプルトニウムなどを有効利用する核燃料サイクルは政府の基本方針で、しっかりと進めていきたい」と語った。

 先の自民党総裁選では河野氏が「使用済み核燃料を再処理してもプルトニウムの使い道がない」などとして、核燃料サイクルを見直すべきだとの持論を展開した。

 この点について質問された萩生田氏は「利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則で、電気事業連合会がさらなるプルサーマルの推進を目指す方針を明らかにしている。プルトニウムの利用拡大が進むものと考えている」と答えた。原発を推進する経産省の大臣としては模範解答のような発言で、サプライズはなかった。

「原子力はできるだけ低減」と山口環境相

 これに対して、山口環境相の記者会見は少し事情が異なった。

 大臣就任の会見で、山口氏は…

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川口雅浩

経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。