
JR東日本の交通系ICカード「Suica」(スイカ)が2001年11月18日に東京近郊424駅でサービスを開始してから、まもなく20周年を迎える。
Suicaの由来は「Super Urban Intelligent Card」の頭文字だが、知っている人はほとんどいないだろう。一方、「スイカ」の愛称は広く浸透し、交通系ICカードは我々の生活に定着していった。
交通系ICカードはカード内にICチップを組み込み、駅の改札などに取り付けた読み取り装置と通信を行う。あらかじめ書き込み(チャージ)された入金情報からその都度、利用料金を引き落とすシステムだ。広く本格的に導入したのは、日本の鉄道会社ではJR東日本が初めてだった。
磁気カードからICカードへ
交通系ICカードが登場する前は、磁気カードを切符のように自動改札機に投入するプリペイド式の乗車券や定期券が広まりつつあった。関西では阪急電鉄や大阪市営地下鉄(当時)などで共通して使えた「スルッとKANSAI」対応カードが1996年に運用をスタート。関東では00年に地下鉄や私鉄で共通利用できる「パスネット」のサービスが開始した。いずれも磁気カードが前提のシステムだ。
JR東日本も同様の磁気カードを山手線などで投入していたが、パスネットには参加せず、90年代はすでにICカードのシステムを開発中だった。
結果的にパスネットは08年1月、導入からわずか8年足らずで販売を終了し、07年3月に登場していた交通系ICカード「PASMO」(パスモ)が取って代わった。乗車券は磁気カードからICカードの時代へ移行していったのだ。
従来の自動改札機は、切符やカードを通すため内部の構造が複雑で、汚れたりすり減ったりする部分も多く、メンテナンスの手間がかかっていた。しかしICカードの読み取り装置は非常にコンパクトで、機械的にすり…
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