地域で光る小さな会社 フォロー

店外で「客の胃袋をつかむ」東京多摩の飲食店の一手

櫻田弘文・クエストリー代表取締役
ラグビー選手たちの胃袋をつかんだ、できたての香り漂う弁当=筆者提供
ラグビー選手たちの胃袋をつかんだ、できたての香り漂う弁当=筆者提供

 新型コロナウイルスの感染者数の減少で、飲食店の営業時間短縮要請が解除された。しかし、飲食店への客の戻りはコロナ前に比べるとまだまだだ。そうした中、移動できるキッチンカーで店外に出て活路を見いだしているのが、東京西部の多摩・武蔵野エリアで飲食店を展開するサニーワークス(東京都国立市)だ。飲食店のほかに、移動販売事業と以前から進めてきたドレッシングなどの食品販売を合わせて生き残りをかける同社の戦略に迫る。

公共施設内に出店するが……

 2005年創業の同社は、コロナ前には和食料理店や居酒屋、レストランなど8店舗を運営していた。特徴は、コンサートホールなど複数の公共施設内でも店舗を展開してきたことだ。こうした店は、イベントに合わせた運営をする難しさがあったが、客の来場傾向を独自に分析して店舗オペレーションを確立し、着実に業績を伸ばしていた。

 そこにコロナ禍が襲いかかった。イベントの中止や外食の自粛が影響し、東京都目黒区にあるコンサートホール内のサラダビュッフェの店は閉店に追い込まれた。

 同社代表の横須賀健さん(51)は「公共施設の店舗は集客が着実に見込める半面、有事には弱いです。新型コロナのような感染症を想定するのは困難でした」と話す。また、東京都の要請に従い、ほとんどの店舗休業を余儀なくされた。

キッチンカーで店外に販路を求める

 同店の売り上げは、20年5月は前年比30%まで落ち込…

この記事は有料記事です。

残り1656文字(全文2252文字)

クエストリー代表取締役

1955年山梨県生まれ。日本大学卒業後、78年に販売促進の企画・制作会社に入社。2001年、クエストリーを設立して独立。中小企業経営者向けの「クエストリー・ブランディングクラブ」を主宰する他、数多くの専門店や飲食店のブランディングを実践的に指導している。