メディア万華鏡

「女性は酒に弱い?」食にまつわる男女の偏見とは

山田道子・元サンデー毎日編集長
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世の中には酒が飲める女性もいれば酒が飲めない男性もいる
世の中には酒が飲める女性もいれば酒が飲めない男性もいる

 「『お母さんが食事をつくるのが当たり前』という意識を植え付けてしまう」と高校生らが声を上げたファミリーマートのプライベートブランド「お母さん食堂」はこのほど、「ファミマル」に統一されることになった。が、衆院選で女性候補者が少なかった政治の世界同様、食にまつわる性による偏見、差別はいたるところに残っているような気がする。

 同感と膝を打ったのは、直木賞作家、姫野カオルコさんの「何が『いただく』ぢゃ!」(プレジデント社)。上戸の姫野さんは初めて入った飲食店で注文する際、「女性に人気!」というメニューを避ける。

 なぜなら、飲食店(特に居酒屋)は、酒が飲めなかったり酒が弱かったりする体質をどういうわけか「女性」と表現することがある。そこで「女性に人気」のメニューを頼むと、酒をまずくする甘ったるいさかなに遭遇する可能性が非常に高いという。

 だから、<女性に人気!>は「不適切表示」と断じ、<下戸に人気!>と変換すべしと説く。

 姫野さんは「酒がそんなに飲めない男性もたくさんいる」として「下戸の男性は<女性に人気! 大学芋>などと表示してあったら注文しづらいではないか」と本質を突く。さらに「女性のくせに酒飲み」という偏見があることを可視化してくれた。

料理人は「女人禁制」?

 こんなことが起きるのも、外食産業が今の女性が置かれた状況を象徴しているからではないか。非正規で働く女性が多い一方、女性料理人、さらには料理店のオーナーとなると少数派。男女雇用機会均等法もなんのその、事実上、「女人禁制」なのだ。

 書店にレシピ本が20冊近く並び一世を風靡(ふうび)している家政婦のタサン志麻さん。フランスでの修業後に帰国し、東京中のフレンチを食べ歩いた末に「ここしかない」と思った店は、面接で「うちは女は採用しない」と言った、と明かす…

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山田道子

元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。