赤間清広の「ちょっと寄り道」経済ニュース

「麻生太郎」が残したのは…”戦後最長財務相”を検証する

赤間清広・毎日新聞経済部記者
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閣議に臨み、安倍晋三首相(左)と言葉を交わし笑顔を見せる麻生太郎財務相(いずれも当時)=首相官邸で2018年5月15日、小川昌宏撮影
閣議に臨み、安倍晋三首相(左)と言葉を交わし笑顔を見せる麻生太郎財務相(いずれも当時)=首相官邸で2018年5月15日、小川昌宏撮影

 菅義偉前政権の総辞職に伴い、戦後最長となる在任3205日で財務相を退任した麻生太郎氏(81)。在任期間通り、歴史に名を残す「名財務相」なのか、それとも……。今回は政策面から迫っていこう。

消費増税、財政再建、金融緩和。自己評価は高く

 麻生氏は10月4日、財務省内で開いた退任記者会見で在任期間中の実績をこう評価した。

 「消費税率を2回上げている。普通、消費税は1回上げると倒閣になった。2回上げて支持率が上がったんですから、新聞の予想はえらい違ったものになったね」

 野田佳彦政権で成立した改正消費税法に基づき、第2次安倍晋三政権は2014年4月に税率を5%から8%に、19年10月に8%から10%に引き上げた。

 とはいえ、財政状況が改善したわけではない。

 国の借金に当たる新規国債発行額は、麻生氏が首相時代の09年度にリーマン・ショック対応で50兆円を突破。その後は景気回復で減少傾向にあったが、新型コロナウイルス禍に見舞われた20年度は過去最大の108・6兆円に膨れ上がった。

 麻生氏が財務相として支えたアベノミクスは「三本の矢」と呼ばれる手法を組み合わせることでデフレ脱却を目指した。

 「大胆な金融政策」(第一の矢)で市場にカネをばらまいて景気を押し上げ、「機動的な財政政策」(第二の矢)で勢いを加速。この間に「民間投資を喚起する成長戦略」(第三の矢)を具体化し、日本を再浮上させる戦略だった。

 日銀の異次元緩和で金利はほぼゼロという状況になり、毎年のように巨額の財政支出を続けたが、いまだに日本は低成長を脱することができずにいる。

「税制」一定の実績

 麻生氏の「自己採点」は悪くないようだが、専門家に聞くと、分野によってその評価は大きく割れた。

 「麻生さんの実績はすごく大きい。歴代の自民党政権が逃げてきた消費税増税に道筋をつけたんだから」

 こう評価するのは、東京財団政策研究所の森信茂樹研究主幹。税制の専門家だ。

 「道筋」とは、どういうことか。

 時計の針を麻生氏が首相に就いた08年9月に戻そう。

 政権発足後、麻生氏が真っ先に指示したのは社会保障などの安定財源確保に向けた「中期プログラム」の作成だった。

 安定財源の候補とされたのが消費税だ。世…

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赤間清広

毎日新聞経済部記者

 1974年、仙台市生まれ。宮城県の地元紙記者を経て2004年に毎日新聞社に入社。気仙沼通信部、仙台支局を経て06年から東京本社経済部。16年4月に中国総局(北京)特派員となり、20年秋に帰国。現在は霞が関を拠点に、面白い経済ニュースを発掘中。新著に「中国 異形のハイテク国家」(毎日新聞出版)