産業医の現場カルテ

「仕事に集中できない」30代男性のアトピー対処法は

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 寺田さん(仮名、30代男性)は建設会社の従業員で、日ごろ現場で働いています。ある日、仕事中に現場で足を踏み外して足首を捻挫しました。捻挫自体は軽症でしたが、上司から「最近寺田さんが集中力を欠くことが多く心配だ」という報告を受け、産業医である私は寺田さんと面談しました。集中力低下の原因は、アトピー性皮膚炎でした。

かゆみで睡眠が浅く

 寺田さんは「幼いころから軽いアトピーがありましたが、最近になって症状がひどくなっています。全身に強いかゆみが出ることがあり、そうしたときは仕事に集中できません」と言います。

 アトピーは、かゆみを伴う発疹が出る病気です。乳児や幼児のころから発症するケースが少なくありません。かゆみに耐えられず発疹をかきむしることで悪化することがあります。成人の場合、顔から首、胸や背など上半身に発疹が出る傾向にあります。

 寺田さんは建設現場で働いているため、普段からよく汗をかきます。夏場は汗でかゆみが強くなります。春や秋は比較的落ち着きますが、花粉が飛びやすい季節で、花粉が多い日は症状が出やすい状況です。汗や花粉は、アトピーの症状を悪化させる原因になります。さらに、冬は乾燥するため、かゆみがあります。

 また、かゆみがひどいときは睡眠が浅くなり、昼間に眠気を感じることがありました。足首を捻挫したのも、ボーッとしたまま角材を運んでいてバランスを崩したためです。アトピーが悪化す…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。