米国社会のリアル

ヘイト急増のカリフォルニアが「義務教育化」するもの

樋口博子・ロス在住コラムニスト
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アジア系住民へのヘイトクライムに抗議する集会=米西部ロサンゼルスで2021年3月13日、福永方人撮影
アジア系住民へのヘイトクライムに抗議する集会=米西部ロサンゼルスで2021年3月13日、福永方人撮影

「ヘイトと教育」カリフォルニアの挑戦(上)

 「私はあなたに近づきたくないの」

 これはロサンゼルス郊外の高級住宅街にあるスーパーのレジで、私の日本人ママ友が高齢の白人女性から言われた言葉です。レジには他に4~5人の白人客が並んでいましたが、その言葉はアジア系である彼女にだけ向けられました。

 米国在住が長い彼女は「私もあなたに近づきたくないわ(お互い様ね)」と言い返したそうです。

 アジア系の住民はこのコロナ禍において、「近づくとコロナがうつる」といったまるで病原菌のような扱いを受けることがあり、アジア系であることを理由とした暴言や暴行、いわゆるヘイトクライムの犠牲になってきました。ワクチンが普及し、コロナへの恐怖も峠を越したと思われる現在でも、こうした差別はなくなっていません。

 トランプ前大統領らが在任中に新型コロナウイルスを「中国ウイルス」などと言い続け、偏見が広がったことも背景にありますが、問題の本質はそこにはありません。それこそ19世紀後半に現れた黄禍論(黄色人種脅威論…

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樋口博子

ロス在住コラムニスト

 兵庫県生まれ。ロンドン大修士(開発学)、東大博士(国際貢献)。専攻は「人間の安全保障」。2008年、結婚を期にロサンゼルスに移住。渡米前はシンクタンク、国際協力銀行、外務省、国際NGOで開発途上国支援に取り組んだ。米国で2019年に独立。地元コミュニティーを地域や日米でつなぐ活動をしている。カリフォルニア州議会下院議員アル・ムラツチ氏(民主党)は夫。