ゼロからわかる!

iPhone創世記「技術は上」日本のガラケーが敗れたワケ

中井正裕・北米総局特派員(ワシントン)
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アイフォーンを手にしたアップル創業者スティーブ・ジョブズ氏 © Apple
アイフォーンを手にしたアップル創業者スティーブ・ジョブズ氏 © Apple

 ニュースを読んでいて「そもそも、これ何だっけ?」と感じること、ありませんか。「ゼロからわかる」シリーズは、ニュースに登場する人物や企業、制度などを初歩から解きほぐし、ニュースを格段にわかりやすくします。

 今回のテーマは、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」です。「あなたの生活をポケットに」というキャッチフレーズ通り、電話に電子メール、友人とのやり取り、ネット検索、スケジュール管理、音楽、読書、買い物など、日々の暮らしになくてはならない存在になったスマホ。その歴史をたどると、技術ではリードしていた日本企業がアップルに出し抜かれた理由も見えてきます。【中井正裕/北米総局】

「すべてを変える」初代アイフォーン登場

 「すべてを変えてしまう革命的な製品が、ごくまれに現れる。今日、そんな革命的な製品を紹介しよう」。

 2007年1月9日。米サンフランシスコで開かれたイベントで、米アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO、当時)はこう切り出した。

 トレードマークの黒いタートルネック姿で、ワイヤレスマイクを手にしたジョブズ氏は「タッチ操作できる大画面のアイポッド、革新的な携帯電話、画期的なインターネット通信機器、この三つが別々のものではなく、一つのデバイスになった」と会場の注目を引きつける。

 そして、こう宣言した。「我々はそれをアイフォーンと名付けた。今日、アップルは携帯電話を再定義する」

 ジョブズ氏の宣言は現実となった。今やアイフォーンの世界保有台数は10億台超。日本ではスマホの保有率が86%に達し、そのうち6割はアイフォーンだ。

 日常生活に不可欠なデジタル機器となったアイフォーンは、どんなふうに生まれたのだろうか。

「革新」を生み出す企業アップル

 ジョブズ氏が76年に友人と創業した「アップル・コンピュータ」(現アップル)は、アイフォーン発表以前から革新的なデジタル機器を世に送り出してきた。

 代表例は、84年に発売したパソコン「初代マッキントッシュ」と、01年発売の音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」だ。

 マッキントッシュは、文字ばかりだったパソコン画面に「ウィンドウ」「マウスカー…

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中井正裕

北米総局特派員(ワシントン)

1975年京都府生まれ。立命館大学法学部卒。2000年毎日新聞入社。岐阜支局、中部報道センターを経て、09年から経済部で電力改革、貿易交渉、日銀などを取材。政治部にも在籍し、首相官邸、自民党などを担当した。18年10月から現職。