クルマ最新事情

トヨタ初の本格EV「屋根の上の黒い“隠し玉”」

川口雅浩・経済プレミア編集部
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屋根上で太陽光発電を行うトヨタ「bZ4X」のルーフソーラーパネル=同社提供
屋根上で太陽光発電を行うトヨタ「bZ4X」のルーフソーラーパネル=同社提供

トヨタ初の世界戦略EV(2)

 トヨタ自動車が2022年の年央に日本、北米、中国、欧州など世界で発売する電気自動車(EV)「bZ4X」は、トヨタがSUBARU(スバル)と共同開発した両社初の本格量産EVだ。

 先行する米「テスラ・モデルY」や日産が今冬に発売する「アリア」などがライバルとなる。トヨタは「従来車から乗り換えても安心して長く使えるEV」を目指したという。前回リポートした「リチウムイオン電池の長寿化」と「冬場の航続距離の確保」以外にも、トヨタは「安心して長く使える」工夫をbZ4Xでしている。

屋根で太陽光発電

 注目すべきは、クルマの屋根で太陽光発電を行う「ルーフソーラーパネル」の設定だ。

 トヨタは「充電スタンドがない駐車場などでも太陽光で充電が可能なほか、アウトドアや災害時などにも充電することで、電力を住宅や家電などに供給できる」と説明する。

 トヨタによると、このソーラーパネルは「1年間で走行距離1800キロに相当する電力を発電する」という。「1年間の平均的な走行距離は1万キロなので、約2割を自車の発電で走る計算になる」とアピールする。

 クルマの屋根にソーラーパネルを置いて発電する方式は、トヨタが09年発売の3代目プリウスで実用化したが、当初は走行用ではなく、車内換気の電力として使っていた。

 住宅の屋根にソーラーパネルを置くのは一般的だが、自動車の屋根に置いて充電するのは電池との接続方法や安全性など解決すべき課題が多く、09年当時は走行用の電源に用いるのは困難とされた。

 その後、トヨタは17年、量産車として世界で初めてソーラーパネルで発電した電力を駆動用のバッテリーに充電する技術をプリウスPHV(プラグインハイブリッド)で実用化。年間で走行距離1000キロに相当する電力を生み出すとしていたが、今回は1800キロに向上させた。

 ルーフソーラーパネルは、現状では太陽光発電による走行距離が…

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川口雅浩

経済プレミア編集部

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。