米国社会のリアル

ヘイトはどこから 米国社会「ステレオタイプ」のわな

樋口博子・ロス在住コラムニスト
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ボードを掲げ、アジア系へのヘイトクライムに抗議する女性=米西部カリフォルニア州サンガブリエルで2021年5月22日、福永方人撮影
ボードを掲げ、アジア系へのヘイトクライムに抗議する女性=米西部カリフォルニア州サンガブリエルで2021年5月22日、福永方人撮影

「ヘイトと教育」カリフォルニアの挑戦(下)

 米国でアジア系住民を標的にしたヘイトクライム(憎悪犯罪)が急増しています。前回の記事では、こうした状況を根本から変えようと、カリフォルニア州が「エスニックスタディーズ(Ethnic Studies)」という教科を義務教育化し、2025年度から導入予定であることを紹介しました。

 今回は、そもそもヘイト(憎悪)はなぜ生まれるのか、その根底にあると思われる「無知」や「偏見」について考えました。

日常に潜む「ステレオタイプ」

 米国に日系人として住んでいて感じるのは、自分が属する人種や民族について、よくわかっていない人が多いことです。ましてや他人種についてはもっとわからず、テレビやハリウッド映画などが描く“ステレオタイプ”でお互いを見る傾向があります。そこにはたくさんの偏見や誤解があり、白人も含めた米国人同士が、それぞれのステレオタイプの犠牲となっているのです。

 こうしたことが起こるのは、まず第一に学ぶ機会がほぼないからです。例えばアジ…

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樋口博子

ロス在住コラムニスト

 兵庫県生まれ。ロンドン大修士(開発学)、東大博士(国際貢献)。専攻は「人間の安全保障」。2008年、結婚を期にロサンゼルスに移住。渡米前はシンクタンク、国際協力銀行、外務省、国際NGOで開発途上国支援に取り組んだ。米国で2019年に独立。地元コミュニティーを地域や日米でつなぐ活動をしている。カリフォルニア州議会下院議員アル・ムラツチ氏(民主党)は夫。