経済記者「一線リポート」 フォロー

人気のiPhone「特価10円」販売のなぜ

村尾哲・政治部
iPhoneSE(第2世代)を「特価10円」で販売する店内表示=東京都内の家電量販店で2021年10月31日、村尾哲撮影
iPhoneSE(第2世代)を「特価10円」で販売する店内表示=東京都内の家電量販店で2021年10月31日、村尾哲撮影

 週末、東京都内の家電量販店のスマートフォン売り場を歩くと、「特価10円」の店内表示が目に飛び込んできた。しかも、機種は人気の高い米アップルの「iPhone(アイフォーン)」の「SE(第2世代)」。携帯電話大手のオンラインショップでは5万5000円ほどで売られている端末だ。かつては当たり前だった大幅値引きも、国の法律改正で最近は目立たなくなっていた。どういう事情があるのだろうか。

1年半前発売の機種がただ同然で

 早速、店員に聞いてみる。本体価格5万5270円から、機種限定の割引3万3260円と、通信契約を条件とする割引2万2000円を差し引いて10円で販売しているという。要するに、10円で購入できるのは他社から乗り換える場合のみ。ただ、端末だけの購入も可能で、その場合でも2万2010円。半額以下だ。

 店員は「1年半前に販売された機種だが、機能は高い。お買い得なのでよく売れますよ」。10円では大赤字だろうが「それだけ通信会社が契約をほしがっているということでしょう」と語った。iPhoneのような高額端末を大幅値引きして顧客獲得につなげる手法は総務省の方針で見直されたのではなかったのか。

 2019年10月に施行された…

この記事は有料記事です。

残り1403文字(全文1916文字)

政治部

1983年東京生まれ。上智大卒業後、2008年入社。福岡報道部、鹿児島支局を経て、13年4月から政治部。20年4月から経済部。22年4月から政治部に戻り、現在は首相官邸を担当。