
トヨタ初の世界戦略EV(3)
トヨタ自動車が2022年の年央に日本、北米、中国、欧州など世界で発売する電気自動車(EV)「bZ4X」はSUBARU(スバル)と共同開発したスポーツタイプ多目的車(SUV)だ。スバルは11月11日、bZ4Xの姉妹車となる「ソルテラ」の詳細を発表した。いずれも両社初の本格量産EVだ。
スバルの中村知美社長は記者会見で「スバルは気候変動という課題に正面から向き合い、あらゆる対応を進めていく。スバルらしい個性あるクルマでカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に貢献していきたい。EVになっても『やっぱりスバルだ』と感じてもらえるよう開発した」と、力を込めた。
ソルテラも世界市場で22年の年央までに発売する。販売価格などはトヨタと同様、未定だ。
bZ4Xとソルテラは共同開発の姉妹車だけに電池の容量や航続距離などEVの基本性能は同じだ。ハイブリッドカー(HV)など電動化で経験豊富なトヨタであれば、単独でEVの開発もできるはずだが、スバルと組んだ狙いは何なのか。
「電動車は退屈」
トヨタはbZ4Xについて「スバルとの共同開発を通じ、走りの魅力と実力を磨き上げた。『電動車は退屈』という常識を覆し、滑らかで意のままになる走行性能を実現した」という。
電動車とはEVだけでなく、トヨタが得意とするHVやプラグイン・ハイブリッドカー(PHV)なども指す。トヨタが自ら得意分野の電動車を「退屈」と表現するのは自虐的に聞こえる。これは、どういうことなのか。
一般にEVは従来のエンジン車に比べると部品点数が少なく、電池とモーターで簡単に作れてしまうため、エンジン車のような「走りの個性」が打ち出しにくいとされる。
これまで旧来のEVに試乗した豊田章男社長が…
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