ニッポン金融ウラの裏

高リスク仕組み債“手数料を見えなくする”ひどい手法

浪川攻・金融ジャーナリスト
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東京証券取引所のマーケットセンター=2020年5月7日、幾島健太郎撮影
東京証券取引所のマーケットセンター=2020年5月7日、幾島健太郎撮影

 資産運用の分野でしばしば問題視されるのがデリバティブ(金融派生商品)を活用した「仕組み債」だ。商品の仕組みが複雑で、リスクや実質的な手数料を把握しにくい。そのハイリスク商品の個人向け販売が最近、増えてきた。しかも、手数料などの情報開示を進める金融庁の取り組みに逆行する動きが出ている。

 仕組み債の代表格は、株価指数の動きと連動する「インデックスリンク債」と、個別株式の株価動向をベースとする「EB債」と呼ばれる商品である。TOPIXなど株価指数や個別銘柄の動きに連動して価格が変動し、あらかじめ設定された早期償還が発生することがある。

学校法人などが手痛い失敗

 最悪の場合には投資元本の過半を毀損(きそん)することもある。過去、農林系統金融機関の経営危機の原因になったり、学校法人による財テクで巨額損失が発生したりしてきた。だがこのところ目立つのは、法人向けではなく個人向け販売だ。

 個人向け販売が増えてきたのは、超低金利が長期化し、国債や社債の魅力が低下したことが背景にある。販売するのは証券会社や独立系のフィナンシャルアドバイザー(IFA)だ。販売側は、「株式は怖いので債券で運用しようと思うが、債券の利回りも著しく低下してしまった」と悩む個人投資家に対し、デリバティブを活用し利率を高く設定した仕組み債…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。