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低所得者には現金支給「給付付き税額控除」とは何か

渡辺精一・経済プレミア編集部
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マイナンバーのいま(2)

 新型コロナウイルスの感染拡大では、収入が急減して生活が苦しくなった人への支援策が課題になった。そこで注目を集めるのが「給付付き税額控除」だ。税と社会保障を組み合わせ、低所得者には現金給付する仕組みで、欧米では効果的な低所得者支援策として評価が高い。具体的な仕組みやマイナンバー制度との深い関わりをみていこう。

現状に見合わないセーフティーネット

 コロナ禍は、特に、非正規やフリーランスで働く収入が不安定な人を直撃した。これは日本のセーフティーネットの限界を浮き彫りにした。

 現在のセーフティーネットは、生活保護や公的年金、失業保険など働くことが難しい人を主対象とする。だが、所得は低くても「社会の支え手」として働く人が、コロナ禍で急に収入が落ち込み、生活が立ち行かなくなっても、支援は後手後手だ。

 コロナ禍では、パート・アルバイトなどシフト制で働く人のシフトが減り休業手当も出ないというケースが増えた。野村総合研究所はこうした「実質的失業者」は2021年5月で約132万人と推計した。

 働き方の多様化にも対応できない。個人で仕事を請け負うフリーランスで働く人が増え、政府推計では462万人に及ぶ。雇用契約はなくても、委託された業務を行って報酬を得る点で雇われて働く人と変わらないが、収入減や病気などに備えるセーフティーネットは薄い。

 働いているのに十分な所得を得られず生活に困窮する「ワーキングプア」。その支援策として、欧米では、社会保障と税を組み合わせ、低所得者に現金給付する「給付付き税額控除」を導入する国が増えた。

 日本では07年の政府税調が初めて取り上げ、09…

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渡辺精一

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。