熊野英生の「けいざい新発見」

岸田政権の「40兆円経済対策」実効性を検証する

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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大型経済対策を策定へ(第2次岸田内閣発足後、記者会見する岸田文雄首相)=2021年11月10日、竹内幹撮影
大型経済対策を策定へ(第2次岸田内閣発足後、記者会見する岸田文雄首相)=2021年11月10日、竹内幹撮影

 政府は、歳出40兆円規模の大型経済対策を11月19日に発表する。経済対策の実行は、岸田文雄首相が自民党総裁選と衆院選を通じて公約してきたことだ。政治的には「公約したことだから」という点が正当性の根拠になるが、そもそも論として、現時点で大型経済対策が必要なのかを疑ってみる必要があると思う。

一過性ではなく継続的な効果が必要

 民意の最大公約数は、新型コロナで傷んだ経済を立て直してほしいということではないか。そこは筆者も同意する。ただ、その目的に対して、今回の経済対策のメニューがふさわしいのだろうか。

 主な内容を挙げると、(1)18歳以下の子供が居る世帯に所得制限をかけた上で給付金(現金とクーポン券)を配る(2)賃上げをする企業への法人税減税(3)生活困窮世帯などへの給付金(4)事業者向けの給付金(5)GoTo事業を見直した上で実施--である。

 景気を立て直そうとする時、二つの考え方が必要だ。一つは、一過性の効果ではなく、より継続的な効果が発揮されること。もう一つは、最も深刻な打撃を受けた業種、あるいは事業者、個人を救済することだ。この二つは、限られた財源の中で、優先順位をつけて実行すべ…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。