身近なデータの読み方

「伸びない給与と広がる格差」コロナ禍2020年の実態

篠原拓也・ニッセイ基礎研究所主席研究員
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 「日本は賃金が上がらない」という声がここ数年高まっている。確かに、中長期的な推移をみると日本人の給与は上がっていない。そうした中、賃金の格差も広がっている。正規雇用者と非正規雇用者間、男女間で大きな溝があるが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、その状況が微妙に変化した。今回は、賃金とその格差について、みていこう。

30年以上給与はほぼ横ばい

 国税庁は9月、民間給与実態統計調査の2020年分の結果を公表した。この調査は、民間の事業所に勤務する給与所得者を対象とし、官公庁などの公務員は対象外だ。民間の賃金動向を見るのに参考になる。

 同調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は433万円(対前年比マイナス0.8%)で、2年連続の減少だった。平均給与はバブル期の1989年に402万円となって初めて400万円を突破。その後は毎年、上下動しながら97年には467万円に達したが、ずっと400万円台のままだ。この30年以上、給与はほぼ横ばいで推移しているといえる。

 日本の場合、ボーナスが給与の一定割合を占めるのが一般的だ。その平均賞与は、この30年間56万~95万円で推移してきたが、20年は65万円(同マイナス8.1%)で4年ぶりの減少となった。20年の減少率は、リーマンショック後の09年(同マイナス13.2%)以来の大きさだ。コロナ禍の影響が表れた結果だろう。

20年の正規と非正規の給与格差は縮小したが…

 同調査は、12年から正規雇用者と非正規雇用者(パートタイマー、アル…

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篠原拓也

ニッセイ基礎研究所主席研究員

1969年、東京都生まれ。早稲田大理工卒。92年、日本生命入社。2014年から現職。保険事業の経営やリスク管理の研究、保険商品の収益性やリスクの評価、社会保障制度の調査などを行う。公益社団法人日本アクチュアリー会正会員。著書に「できる人は統計思考で判断する」(三笠書房)がある。