鉄道カメラマン見聞録

南アルプス「大井川鉄道井川線」国内唯一のアプト式

金盛正樹・鉄道カメラマン
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先頭の一段背の高い車両がアプト式専用電気機関車。これから急勾配に挑む=静岡県の大井川鉄道井川線長島ダム-アプトいちしろ間で2010年9月、金盛正樹撮影
先頭の一段背の高い車両がアプト式専用電気機関車。これから急勾配に挑む=静岡県の大井川鉄道井川線長島ダム-アプトいちしろ間で2010年9月、金盛正樹撮影

 2020年1月と2月の本欄で蒸気機関車の魅力についてお伝えした時、静岡県の大井川鉄道を取り上げました。この大井川鉄道には蒸気機関車が走る大井川本線のほかに、もう一つ、南アルプスの秘境を走る井川線という別の路線があります。今回はその井川線についてお話しします。

 井川線の魅力とは何でしょうか? 井川線は大井川本線の終点・千頭駅(静岡県川根本町)から井川駅(静岡市)に至る延長25.5キロの単線路線で、大半が非電化となっています。線路幅は大井川本線と同じ1067ミリで、千頭駅構内で大井川本線と線路はつながっているのですが、全く性格を異にする路線になっています。

秘境駅や日本一高い鉄道橋

 井川線は大井川上流部・奥大井の南アルプス山中深くを、時には断崖にへばりつくようにして進みます。全線の3分の1をトンネルと橋が占めており、最小半径50メートルという急カーブが連続します。

 急カーブが多く、トンネルも小さいため、それに見合った小さなトロッコ列車と呼ばれる小型の客車列車が、最高時速30キロというゆったりしたペースで走っています。

 線路幅はJRの在来線と同等の規格でありながら、その雰囲気は前回(21年10月)お話ししたナローゲージの森林鉄道を思わせます。沿線風景は自然豊かで、特に新緑や紅葉のシーズンは魅力が倍増します。

 井川線には、道路が通じていないため列車でしかアクセスできず、常に秘境駅ランキングの上位に挙げられる…

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金盛正樹

鉄道カメラマン

 1967年神戸市生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業後、商業写真プロダクション「ササキスタジオ」に7年間在籍。1996年からフリー。鉄道専門誌や一般誌に写真を発表している。「鉄道と名のつくものは、実物から模型、おもちゃまで何でも撮影する」がモットー。日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。鉄道と同じくらいクルマも好きで、愛車はスズキジムニー。機械式カメラ、日本史、日本刀など趣味多数。