イマドキ若者観察

若者が旅行できない今「ゲストハウス」どう変わった?

藤田結子・明治大商学部教授
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かつて短期滞在の旅行客が多かったゲストハウスに、現在は長期滞在の若者が集まっているという
かつて短期滞在の旅行客が多かったゲストハウスに、現在は長期滞在の若者が集まっているという

 コロナ禍の影響で、多くのゲストハウス(旅行者向けの簡易宿所)が苦境に立たされました。ところが、観光客なきゲストハウスに、20代の若者が集っています。ゲストハウスはどのような空間へと変わっているのでしょうか。今回は、調査をした東京大の大学院生2人が報告します。

ゲストハウスに集う若者たち

 コロナ禍の影響により、もともと薄利多売方式によって利益を上げていた多くのゲストハウスは、経営的な苦境に立たされることになりました。そこで、私たち2人は、東京都心にあるゲストハウスで調査をしました。

 このゲストハウスには20代前半の若年層を中心に、多くの若者が集ってきます。彼ら彼女らは、旅行客として短期滞在しているわけではありません。このゲストハウスをそれぞれの生活の拠点としているのです。

 調査時、このゲストハウスでは、およそ20人弱が1週間以上の長期滞在をしていました。事実上、シェアハウス(共同で利用する賃貸物件)の役割を果たしているのです。ここに滞在する理由はさまざまです。たとえば、奥川さん(仮名、20代男性)はこう言いました。

 「3月からここに住んでいます。もともと実家からずっと出ようと思っていたんです。家賃が安い場所を探してました」

 このゲストハウスでの滞在は、1人暮らしに比べて家賃(宿泊費)が安く、光熱費や水道代も宿泊費の中に含まれ、初期費用がかかりません。

 春から滞在している坂口さん(仮名、20代男性)は「このゲストハウスは、すごくアットホームですね」といいます。同世代の若者たちがすぐそばにいる環境に、滞在するメリットを見いだしています。

つながりの循環が人を呼ぶ

 このゲストハウスで、若者たちは…

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藤田結子

明治大商学部教授

東京都生まれ。慶応義塾大を卒業後、大学院留学のためアメリカとイギリスに約10年間滞在。06年に英ロンドン大学で博士号を取得。11年から明治大学商学部准教授、16年10月から現職。専門は社会学。参与観察やインタビューを行う「エスノグラフィー」という手法で、日本や海外の文化、メディア、若者、消費、ジェンダー分野のフィールド調査をしている。