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石川県白山市「アウトレット家具店」安さ極める経営力

櫻田弘文・クエストリー代表取締役
ひだインテリアが運営する家具のアウトレット大型専門店「ファニチャー・エクスプレス」は倉庫を含め店舗面積が3000坪ある=筆者提供
ひだインテリアが運営する家具のアウトレット大型専門店「ファニチャー・エクスプレス」は倉庫を含め店舗面積が3000坪ある=筆者提供

 家具業界は、低価格を武器にする大手家具販売店が市場を拡大し、地場の家具店は苦戦を強いられている。そうした中、取り扱う家具をいち早くアウトレット品に転換し、生き残りをかけてきたのが石川県白山市の「ひだインテリア」だ。同社は家具のアウトレット大型専門店「ファニチャー・エクスプレス」を単独店として運営し、商品ラインアップの豊富さと徹底した価格戦略に磨きをかけている。

低価格と品ぞろえで圧倒する

 ファニチャー・エクスプレスの最大の強みは「低価格帯の商品の品ぞろえの豊富さ」だ。安い価格帯の商品を仕入れ、圧倒的な量と種類をそろえている。約3000坪の店内(倉庫を含む)には、ベッドやソファ、ダイニングセットを中心に約1万点の商品が並び、倉庫にも約2万点の在庫がある。

 たとえば、ソファでは低価格といわれる3万円以下の商品でも、同店は素材やデザインのバリエーションが多い。顧客は自分の予算に合わせて好みのものを品定めし、買い物の楽しさを味わうことができる。品ぞろえの豊富さが大手家具販売店との違いだ。

 ひだインテリアの4代目、氷田章さん(44)は「当店は何らかの事情で通常の流通に乗らなかった国内や海外の有名メーカーの商品や型落ちした商品をアウトレット品として仕入れる独自ルートを開拓しています」と話す。仕入れ値や輸送コストを抑え、正規品の値段の3~7割でほぼすべての商品を現品販売する。主に、デザインを重視し、短い期間で家具を買い替えていく顧客がターゲットだ。

 薄利多売のビジネスモデルだ。仕入れた商品は売れ残りを出さず、一方で顧客が手を出しやすい絶妙な値付けが重要になる。少量多品種の商品の値付けは「…

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クエストリー代表取締役

1955年山梨県生まれ。日本大学卒業後、78年に販売促進の企画・制作会社に入社。2001年、クエストリーを設立して独立。中小企業経営者向けの「クエストリー・ブランディングクラブ」を主宰する他、数多くの専門店や飲食店のブランディングを実践的に指導している。